自民党が掲げる「ニッポン一億総活躍プラン」において、人手不足が顕在化している保育士と介護士の人員を確保するため、待遇改善が検討されている。
日本一億総活躍プランは、50年後も日本の人口1億人を維持するため、誰もが家庭や地域、職場といった活躍できる社会を目指すものだ。「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」そして「安心に繋がる社会保障」といった構成になっている。高齢者が安心して暮らせる社会保障があり、労働者が経済的に余裕を持つことで少子化を解消していくことが目的だ。
内閣官房の調査によると、保育士のほとんどは女性であり、平均月収は26.8万円である。これは全産業の女性従業員の平均月収より約4万円ほど低い金額だ。介護士も他のサービス業に比べ、平均月収は約1万円ほど低くなっている。そのため離職率も高く、早急な対応が迫られているという現状だ。
これを受けて安倍晋三総理大臣が国民会議で記した、一億総活躍社会の実現に向けた工程表には具体的に月収を底上げする方針がまとめられている。具体的には保育士に対して月額6,000円、介護士は月額10,000円相当の賃金を引き上げるとされている。
この底上げされた賃金の財源確保に厳しい声があがっている。処遇改善に必要な経費はおよそ2,000億円程度と見込まれている。この財源は当初の見積もりを上回った税収の底上げ分を活用する方針だ。景気が回復してきたからこそ、この総活躍プランが掲げられていると言えるだろう。
景気によって増減する財源を恒久財源と位置づけるのは難しい。景気は変わっていくものであり、安定性には疑問の声があがっている。このことから、加藤一億総括担当大臣は「しっかりとした財源を確保する必要がある」としている。安定した財源確保は、来年度予算案の編成に向けて今後の重要な課題となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)