自民党の谷垣禎一幹事長は10日の記者会見で、野党共闘が進んでいることについての受け止めを記者団に聞かれ「野党の動きにいちいち論評するのは与党の幹事長としてどうかと思う」と前置きしたうえで「アメリカ大統領選挙で日米安保体制がどうなっていくかというようなことはアジア太平洋地域の平和や安全に、またTPPみたいなものはアジア太平洋地域の経済活動に大きな影響があるもの。そのとき、一致した対応ができるのかなということを私は疑問に思う」と野党各党の目指す方向性が揃っていないのではないか、ということを取り上げた。
谷垣幹事長は「自民党、自公政権に一矢報いたいという気持ちは野党としてお持ちのことは当然だろうが、一矢報いるというだけでは、ここから先は言わない方がいいかもしれませんが、ごまめの歯ぎしりというようなこと。だからやはり一矢報いるのではなく、長期的に日本の政治をどうするのかという課題が共産党までご一緒になって打ち出せるなら打ち出していただきたい」と安保法制廃止の旗の下で、その一点で共闘し、政権をとったとしても、その先はまとまらないのではないか、と強調したげだった。
ただ、野党側は「違憲の安保法制を廃止する、立憲主義を回復する」という政治の根幹をテーマに、個々の政策以前の次元の異なる問題解決へ共闘している連帯感があり、文字通り、政策の次元を超え共闘し、現行憲法下の範囲内での安保法制にするため、自公政権に代わる政権を目指している。
記者会見で谷垣幹事長は「一矢報いるというようなことだけで(野党共闘を)おやりになるのは志が小さいのではないかというのが私の率直な感じです」と語ったが、一矢報いるというレベルの共闘でないことは、これまでの野党共闘の姿と違うことからも推測できる。ダブル選挙の可能性が残るだけに、夏の国政選挙の成り行きが注視される。(編集担当:森高龍二)