パテント・リザルトは、独自に分類した食品業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「食品業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになった。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、味の素の369件、次いでキリンホールディングスの258件、明治ホールディングスの174件となった。
1位味の素の最も引用された特許は、「有用な代謝産物を製造する方法」に関する特許(特許第5596902号)および、「脂質吸収阻害剤」に関する特許(特願2008-315415)で、前者はCJ CHEILJEDANG(韓)の特許4件、後者は花王の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されている。
2015年に味の素の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は花王の10件、次いでキリンホールディングス、三栄源エフ・エフ・アイ、CJ CHEILJEDANG(韓)の各6件となっている。
2位キリンホールディングスの最も引用された特許は、キリンビール、メルシャンの2社による保有となっている「完熟香が強く感じられる梅酒」に関する特許(特願2009-277680)で、サントリーホールディングスの2件など計4件の審査過程において拒絶理由として引用されている。このほかには「低カロリービール風味アルコール飲料」に関する特許(特許第4908390号)や、「飲食品の酢かど抑制方法」に関する特許(特許第4847829号)などが引用された件数の多い特許として挙げられる。
2015年にキリンホールディングスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はサントリーホールディングスの11件、次いでサッポロホールディングスの8件、アサヒグループホールディングス、中外製薬の各6件となっている。
3位明治ホールディングスの引用された件数の最も多い特許は、「血圧上昇抑制作用を有する組成物」(特願2007-100667)で、花王の6件の審査過程において拒絶理由として引用されている。このほかには「血糖値コントロール用栄養組成物」(特許第3545760号)や、ライオンとの共同保有特許である「唾液分泌促進剤」(特許第4632048号)などが引用された件数の多い特許として挙げられる。
2015年に明治ホールディングスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は花王の12件で、雪印メグミルクの9件、日清製粉グループ本社、森永乳業の各6件と続いている。(編集担当:慶尾六郎)