川崎市に三菱化工機の新水素ステーション 「川崎水素戦略」とは

2016年05月24日 08:22

 5月11日、三菱化工機<6331>は神奈川県川崎市にある川崎製作所の敷地内に、新たな水素ステーションの建設を開始すると発表した。主力製品である小型水素製造装置「HyGeia-A」の運転効率化と、開発中の水素ステーション充填パッケージの実証運転が目的。また、川崎市が進める「水素社会の実現に向けた川崎水素戦略」の一環にもなっており、地方自治体と企業の連携と協力によって水素社会の実現を目指す。

 同社は早くから小型水素製造装置の納入や水素ステーションの建設に携わってきた。2002~10年度には、燃料電池自動車(FCV)の普及に関連する経済産業省の事業に参画した実績がある。この度の新設は水素ステーションのさらなる普及に向けた事業の足掛かりとし、建築工事のコストダウン、最適使用の確立、適切なメンテナンス方法などを工夫するという。

 新設する水素ステーションの原料は都市ガスで、水素ステーションの中で水素を製造・供給する「オンサイト型」だ。デンマークの大手メーカー「H2 Logic」から技術を導入した「CAR-100」という水素ステーション充填パッケージを日本向けに改良したディスペンサー一体型の機能を搭載することで、充填効率アップを図る。また、CO2の排出量が低いと川崎市が認定した「HyGeia-A」を搭載し、環境に配慮している。建設の際は基礎や配管、計装電気などの工事の簡略化に取り組み、20フィートコンテナでユーティリティ設備のパッケージ化を行うという。完成は16年11月頃になる見込み。

 川崎市内及び周辺には、東芝<6502>、昭和電工<4004>、旭化成ケミカルズ<3407>、東燃ゼネラル石油<5012>、東亜石油<5008>、JX日鉱日石エネルギー<5020>など、水素・燃料電池関連会社が集積している。同市はかつて工業の発展とともに公害問題が深刻であったが、公害対策に尽力し環境問題に取り組んできた結果、環境技術と産業が集積する形となった。環境先進都市の強みを活かしてグリーンイノベーションを推進し、水素社会の実現を目指す。(編集担当:久保田雄城)