FCV普及の後押しにつながるか? 水素ステーション運営向け損害保険、販売開始

2016年02月16日 08:11

画・FCV普及の後押しにつながるか? 水素ステーション運営向け損害保険商品、販売開始

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、水素ステーション運営に伴うリスクを補償する損害保険商品の販売を開始した。

 次世代型自動車社会の到来を見越し、損害保険大手、三井住友海上保険とあいおいニッセイ同和損害保険は水素ステーション運営向け損害保険商品の販売を2月に開始した。

 クリーンでエコな燃料電池自動車(FCV)の販売が本格化するのと同時に、FCVのエネルギー源である水素を供給する水素ステーションの普及が今後の急務となっており、今回の損害保険商品は普及を後押しするサービスとなっている。

 具体的には、水素ステーションの運営に関わる事故が発生した場合における第三者への損害賠償や、高額な設備の損害などのリスクを補償するという。水素ステーションの建設費は一か所で4億円にのぼるといわれ、運営者側にとって高額設備へのリスク管理は重要な課題だと言えよう。今回発売された保険は、そうしたリスクへの対策に応えていく。

 そしてさらに大きな課題は水素ステーションの安全管理だ。FCVは水素と酸素の化学反応で発生する電気で動くが、万が一水素が外に漏れた場合、環境の条件次第では爆発が起こりかねない危険性がある。

 そうした万が一の事故発生にかかる第三者へのリスクも高額設備と同様に考慮しなければならならず、当該保険商品はそうした運営側のリスクを包括的に補償するものになる。

 この他、この保険商品では、事故発生原因の調査費用や、謝罪広告や記者会見費用などの安全対策広報・宣伝関連費などへのオプション補償の用意もされている。

 政府は四大都市圏を中心に水素ステーションを100カ所ほど整備する計画を発表しているが、現状はまだまだ目標に追いついていない。両社の保険が将来の普及にどのような影響を与えるのか、注視する価値はあるだろう。

 コンサルティングを手がけるデロイトトーマツが2014年に発表したFCVの市場予測調査によれば、FCV販売台数は2020年には約5万台、2030年には約40万台到達するとの結果が出ている。40万台規模では金額にして4兆円超だ。

 この市場規模をさらに拡大させるために、FCVに不可欠な水素ステーションなどのインフラ整備が必要となるが、既述の通り高コスト問題の解決や、安全のための設備管理、周囲への説明・安全PRが必要となる。

 FCVを単なる期待で終わらせないためには、人々への丁寧な説明で理解を求め、疑問や不安点を早急に解消しなければならない。(編集担当:久保田雄城)