GWが過ぎて、世間は普段の落ち着きを取り戻しつつあるが、住宅販売業界にとっては今がちょうど勝負時でもある。GW期間中に住宅展示場などで集客、接客した見込み客にしっかりとアフターフォローを行い、熱が冷めないうちに具体的な商談や契約に持ち込めるかどうかの大事な時期。とくに今年は、低金利や来年に控えた消費税増税などの影響で住宅購入意欲が高まっているとみられており、各住宅メーカーともにGW商戦に力を入れていた。とくに積水ハウス<1928>やパナホーム<1924>、ダイワハウス<1925>などの大手住宅メーカーの展示会場では、太陽光発電設備やHEMS、ZEH設備などを標準装備した高機能、高価格帯の商品の充実を図り、多くの来場者で賑わったようだ。
そして、熊本地震の影響もあってか、住宅の耐久性や耐震性を高める構造材への関心も、以前にも増して高まっている。デザインや間取り、省エネ・節エネ設備はある程度、目に見えたりもするが、耐震技術や制震技術など壁の内側にある技術はなかなか目にする機会がない。それを実際に見学できて解説してもらえるモデルルームは、住宅の安全性や快適性を確認できる貴重な場所といえる。
中でも来場者の関心を集めているのが、オイルや特殊粘弾性ゴム、金属などのエネルギー吸収要素を利用した制震システム「制震ダンパー」だ。地震エネルギーを熱エネルギーに瞬時に変換するなど、大きな揺れを抑え、地震時に住宅の損傷を低減する働きがある。新築住宅はもちろん、既存の住宅のリフォームにも適用できることから、検討する人が増えているようだ。よく知られているものとしては、自動車用の防振ゴムなどでトップクラスのシェアを誇る住友理工<5191>の木造住宅用制震システム「TRCダンパー」や、橋梁・ビルで採用されている制震技術を用いて木造住宅用に開発された、住友ゴム工業<5110>の住宅用制震ダンパー「MIRAIE(ミライエ)」、3Mの「3M住宅用摩擦ダンパー」などがある。
また、地震対策以外にも注目されているダンパーがある。同じく住友理工の「重量床衝撃音対策用ダンパー」だ。これは、上階での歩行音や子どもが飛び跳ねたりする衝撃を高減衰ゴムが吸収し、下階へ伝わる不快な衝撃音や振動を低減してくれるデバイスだ。子供のいる家庭だけでなく、集合住宅や2世帯住宅などの不満を解消する設備として期待されている。
デザインや間取りに対するこだわりも、もちろん大事だが、住宅購入を考える際には、見えないところにある安全への配慮や快適さに注目して検討したいものだ。(編集担当:藤原伊織)