「政治家の質とともに(マスコミ)報道にも質が問われている」。2004年に年金未納問題で民主党代表辞任に追い込まれた菅直人元総理が16日、舛添要一都知事の辞任(今月21日付け)報道で、甘利明前TPP担当大臣への対応を引き合いに出し「最近のマスコミは大きな権力に媚びて報道を自主規制している」と提起。甘利前大臣への取材対応に注視する旨を発信している。
甘利前大臣は睡眠障害を理由に1月下旬から国会閉会まで一度も国会に出ず、URを巡る建設会社からの金銭授受疑惑に対し、1月に会見して以来、説明責任を果たしていない。
菅元総理は「舛添問題で今日(16日)の朝日新聞に民放関係者が『視聴率の取れる話題だった』と語っているのが目を引いた」とし「事件としては甘利前大臣の口利き疑惑のほうが重大。しかし甘利氏は『病気療養』と称してマスコミ報道のほとぼりが冷めるのを待った。今後のマスコミの追及がどうなるかだ」とブログに書き込んだ。
菅元総理は舛添都知事の辞任報道に「民主党代表辞任に追い込まれた時のことを思い出した」とし「年金未納問題は実際には役所の担当者が間違った手続きを指示した結果だった。辞任直後に社会保険庁は間違いを認めたが、後の祭り。社会保険庁の手続きの間違いを私がいかに説明しようとしても、テレビキャスターの大半は聞く耳を持たず、『いつ辞めるのか』という問いに終始した。『視聴率の取れる話題』になると火を消すことがいかにむつかしいかをこの時経験した」としている。
そのうえで「最近のマスコミは大きな権力に媚びて報道を自主規制している」と懸念。「NHK会長の『原発報道は政府の発表に沿ってするように』という発言がまさにその象徴。政治家の質とともに報道にも質が問われている」と問題提起した。(編集担当:森高龍二)