コールセンターのCSは待ち時間の短さと用件解決率の高さが重要ポイントに

2016年06月25日 18:55

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関J.D. パワー アジア・パシフィックは、2016年コールセンター満足度調査の結果を発表した。

 この調査は、直近1年以内に企業のコールセンターに問い合わせをした一般消費者を対象に、企業のコールセンターに対する満足度を聴取するとともに、各種活動実態を調べたもの。2016年3月にインターネット調査を実施し、11,300人から回答を得た。今回調査対象となった業界は、銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社、クレジットカード会社、携帯電話事業者、固定インターネット回線サービス事業者、自動車メーカー。 

 満足度の測定にあたっては、コールセンター利用時に経験する領域(=ファクター)を予め設定し、各ファクターに関連する詳細項目への評価を基に1,000点満点で算出している。各ファクターが総合満足度に与える影響度は、「担当者/オペレーター」(66%)、「自動音声案内」(34%)であった。(カッコ内は影響度)

 この調査では最も主要な問合せ用件が何だったかを聴取しており、問合せ用件別に満足度を見ることができる。今回、業界別評価で昨年より大幅に評価を上昇させた自動車メーカーは、「購入/契約前の問合せ」「故障・不具合・トラブル」の二つの用件で問合せ全体の6割強を占める。リコール問題の関連もあってか、自動車メーカーでは、過去2回の調査においては「故障・不具合・トラブル」でコールセンターを利用した人の満足度が「購入/契約前の問合せ」を行った人の満足度に比べ大幅に低かった。

 しかし、2016年調査ではその評価が逆転し、「故障・不具合・トラブル」でコールセンターを利用した人の満足度は「購入/契約前の問合せ」を行った人の満足度を大きく上回った。このことが結果として、業界全体の満足度向上に寄与したと考えられる。リコールが続く中、少しでも顧客のストレスを軽減するため、受付方法や対応内容についての改善が行われたと推測されるとしている。

 実際、コールセンターへ電話をかけた際に一回で繋がったと回答した人の割合は、自動車メーカーが86%と評価対象業界の中で一番高く、「事前に情報把握」「すぐに用件を理解」といった問合わせ内容を迅速に解決するのに必要なオペレーター対応の実施状況においても、前年比で明らかな改善が見られたという。

 顧客はコールセンターに電話をすることで、すぐに、かつ、確実に用件が解決することを期待している。この期待を実現するためにはすぐに繋がるという運用体制はもちろん、顧客の用件をすぐに理解し、迅速な解決に導くことができるというオペレーターの高いスキルも必要となり、両方が備わって初めて、顧客の高い満足に繋がると言えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)