17年度のコールセンター市場規模は8,637億円に

2016年02月02日 09:22

 矢野経済研究所は、国内のコールセンター市場、コンタクトセンター/CRM ソリューション市場の調査を実施した。調査期間は2015年10月~2016年1月、調査対象はテレマーケティング・エージェンシー、コンタクトセンター/CRM ソリューションベンダ等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2012年度から2017年度のコールセンター(テレマーケティング)の市場規模は、年平均成長率(CAGR)1.8%で推移し、2017年度には 8,637億円になると予測した。2012年度~2013年度のコールセンター(テレマーケティング)市場は、大きな成長要因がなかったことから 2011年度までと比較すると伸び率は鈍化したとしている。

 2014年度は2014年から開始された NISA(少額投資非課税制度)への問い合わせ需要が発生し金融業での引き合いが増加したほか、EC(電子商取引)全般での引き合いも増加し、前年度比 2.0%増となった。2015年度は大きな需要こそ発生していないが、社会保障・税番号(マイナンバー)制度への対応などによる需要が発生したことなどにより、前年度比 2.0%増を予測した。

 2016年度~2017年度の成長率は1%台の伸びに留まると予測するが、2016 年1月施行のマイナンバー、2016年4月の電力の小売全面自由化などを背景にした需要の拡大が期待されるとしている。

 また、2013年度~2017年度のコンタクトセンター/CRMソリューションの市場規模は、年平均成長率(CAGR)3.9%で推移し、2017年度には4,860億円に達すると予測した。2014年度~2015年度のコンタクトセンター/CRM ソリューション市場は、前年度よりは伸び率は鈍化したが、比較的堅調に推移している。これは、アウトソーシング事業者による大口の新規導入案件こそ少なかったものの、一般企業の自社内におけるコンタクトセンターでの導入が増加しているためである。またこれ以外にも一般企業のオフィスでの導入も進んでいる。このほか、通話録音などの周辺機器を拡充する企業が増加していることも成長要因になっているとしている。

 コンタクトセンターのリプレイスを契機に、従来の、要件の異なる複数の顧客応対窓口や複数拠点に分散している窓口を集約化する動きも出てきている。さらには、BCP(事業継続計画)対応の点から、コンタクトセンターの分散配置や拠点間連携などの動きも見られる。こうした中で、他のシステムやバックオフィスと連携し、システムを一元管理する事例が増加している。

 しかし、2016年度以降は競合企業間でのソリューションの機能面の差異がなくなってきていることを背景に、価格競争が激しくなっていることやクラウド型の安価なサービスがサービス単価自体の低下を招くため、成長率は鈍化していくと予測している。
 
 ただし、安価なクラウドサービスをこれまで利用の少なかった中小企業が導入していくほか、大手企業も Web 経由の顧客からのコンタクト(問合せ、苦情等)と電話対応を融合させた新たな顧客サポート体制の強化を図るためにシステムを拡充していくと想定できることから、一定以上の成長を示すものと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)