民進党の岡田克也代表は29日、安倍晋三総理・自民党総裁に対して、今回の参院選での重大争点に対する考えを明らかにするよう、公開質問を行った。質問への回答は「30日中に書面で」と求めている。
質問内容は(1)経済(2)社会保障(3)憲法(4)政治とカネの4点。経済では「貧困や所得の格差是正といった『分配と成長の両立』を実現するための経済対策であるべきだが、安倍総裁が考えている経済対策の柱はどういうものか。安倍総裁は赤字国債は無責任と再三発言しているが、経済対策の財源をどうするのか、規模も含め概略説明を」と求めている。
社会保障については「社会保障の充実の何を実施し、何を実施しないのか、明確にしていないことは問題であり、低年金者への年額最大6万円の上乗せ給付金や低所得高齢者の介護保険料の軽減は実施するのかしないのか、実施するなら財源をどう確保するのか、明確に説明を」としている。
憲法では「安倍総裁は年頭総理会見で憲法改正を参院選挙でしっかり訴えていくと明言していた。しかし、参院選挙になると党首討論会では議論すら避け、街頭演説で全く触れていない。総裁の対応は国民・有権者にあまりに不正直。参院選挙で訴えるというのは嘘だったのか。明確かつ誠意ある説明を」と求めている。
また「安倍総裁は日本国憲法の平和主義とは単に侵略戦争をしないことだと述べているが、総裁の考えに沿って憲法9条を改正し、国際標準の集団的自衛権を認めれば、国際社会が侵略戦争とみなしていない9.11後のアフガニスタン戦争やイラク戦争に自衛隊が参加し、米軍とともに武力行使することも可能になるというのが当然の帰結だが、総裁の見解を伺いたい」とした。
政治とカネについては「甘利明前経済財政担当大臣(TPP担当前大臣)と舛添要一東京都前知事の政治資金をめぐる問題は、国民の政治不信を一層増すこととなったが、二人とも説明責任を果たしていない。閣僚や知事を辞任しても、国民・都民に対する説明責任は免れない。甘利前大臣は安倍内閣の重要閣僚であり、舛添前知事は与党が主導し誕生させた。安倍総裁は二人が説明を尽くすよう、今後どのように指導力を発揮しようとしているのか」と質した。国民が共に関心を持つ内容だけに、安倍総裁の回答が注目される。(編集担当:森高龍二)