2016年は日本とネパールの国交が樹立して60周年となる記念すべき年だ。とはいえ、日本人がどれだけネパールのことを知っているだろうか。
ネパールはインドの北北東に位置する国。2008年、240年続いた王制が正式に廃止され、現在は共和制となっている。人口は約2千600万人。GDPの約34%及び就労人口の約66%を農業に依存している農業国で、決して裕福とはいえないが、多くの国際機関選挙・決議等で我が国を支持する親日国だ。
そんなネパールに対し、多くの日本の団体や企業がCSR活動を行っている。
例えば、特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会では、ネパールをはじめ、インドやバングラデシュの子どもや女性、スラムに住む人々などの生活向上支援、フェアトレードに取り組んでいる。
参天製薬も2015年4月にネパール中部で発生した震災の被災者支援を目的に会社として300万円を日本赤十字社および国際協力NGOであるジャパンプラットフォームに寄付。加えて、社員の寄付と同額を会社が上乗せし、寄付する「マッチングギフト制度」により、350万円、米国のサンテン・インクからも同制度により1万米ドルを寄付している。
また、京セラは、無電化地域における教育環境向上を目的に、ネパールほか、ウガンダ、タンザニアの3カ国に対し、2009年から当該地の学校施設へ太陽光発電システムと電化設備の寄贈を行っている。太陽光発電システムによって、子供たちは明るい教室で教育を受けられる。教育水準が向上すれば、その国の経済も将来的に向上するだろう。
ネパールに対して、以前から熱心なCSR活動を行っているのが、ミツバチ産品の製造販売で知られる株式会社山田養蜂場だ。同社ではネパールの人々の自立支援に貢献するために、1999年より植樹活動を実施しており、これまでの実績は45万本以上になるという。今年も、2016年7月23日(土)にネパールの世界遺産「チャングナラヤン寺院」で2000本の植樹を予定している。当日はネパール森林省や在ネパール日本国大使館、ネパール和平記念国立公園の代表者などの政府関係者をはじめ、現地ボランティアや当社役員、従業員など、総勢200名以上が参加予定だという。
途上国への寄付は、もちろん大切な社会貢献活動の一つだ。しかし、CSRの本質は一時的なものではなく、将来を見据えた継続的な行動にあるのではないだろうか。日本企業の贈った太陽光発電システムの明かりの下で教育を受けた子供たちが成長し、緑あふれる自国を振り返った時、日本にとっても、ネパールは今よりももっと心強いパートナーとなるに違いない。(編集担当:藤原伊織)