東京商工リサーチによると、都道府県別の社長「輩出率」で徳島県が2年連続でトップになった。また、社長が出身地にとどまる「地元率」のトップは、沖縄県の94.2%だった。
社長の出身地の都道府県別は、最多が東京都の7万8,925人だった。次いで、北海道5万3,132人、大阪府4万8,282人、愛知県4万5,866人、神奈川県3万1,441人、福岡県2万9,617人、広島県2万8,914人と大都市や中核都市が続く。一方、最も少なかったのは鳥取県の4,520人で、6年連続で最少になった。次いで、滋賀県6,325人、佐賀県6,445人、島根県7,163人の順だった。
社長数は人口数に比例しやすいため、出身地別の社長数を都道府県別人口(総務省「人口推計」2014年10月1日現在)で除し、「輩出率」を算出した。この結果、最も比率が高かったのは徳島県の1.37%(前年1.28%)で、2年連続のトップになった。
徳島の県民性は堅実・実利を尊び、お金をコツコツ貯める気風が強いとされ、この質素・倹約のストレス発散が「阿波踊り」との説もあるほど。現在は、全国トップクラスのブロードバンド環境を進め、先端産業・ベンチャー企業の集積を目標に掲げ、「進取の気性」に富んでいるという。
一方、徳島県の人口は17年連続で減少をたどり75万人(2016年1月1日時点)にとどまり、出生が死亡数を下回る「自然減」が続く。さらに大阪などの関西圏に近いことも影響し住民の転出が転入を上回る状況にも歯止めがかかっていない。社長「輩出率」トップも、こうした人口動向が関わっている可能性もあり、手放しでは喜べない面もある。
次いで、2位が山形県の1.33%。「辛抱強くて、堅実」な県民性に加え、江戸時代から商工業が活発な土地柄で、絹織物「米沢織」や「山形鋳物」などの伝統工芸品を数多く有している。
だが、1985年に126万人だった人口は、2015年10月には112万人に減少し、人口減少に歯止めがかかっていない。以下、香川県1.25%、秋田県1.19%、愛媛県1.09%と、四国が上位を占めてい る。一方、輩出率が低いのは47位に埼玉県(0.26%)、46位千葉県(0.28%)、45位神奈川県(0.34%)で、首都圏のベッドタウンが顔をそろえた。
地区別の社長「輩出率」で最も比率が高かったのは、四国の1.16%(前年1.10%)で6年連続でトップになった。次いで、北海道0.98%(同0.91%)、東北0.95%(同0.89%)とトップ3は前年と同じだった。以下、北陸0.92%(同0.84%)、中国0.89%(同0.85%)、九州0.80%(同0.76%)、中部0.70%(同0.67%)、近畿0.56%(同0.53%)、関東0.49%(同0.47%)の順だった。
地元出身者が地元企業の社長を務める「地元率」は、最も高かったのが沖縄県の94.2%(前年94.4%)で6年連続トップだった。地理的条件に加えて、公共投資・観光・基地の「3K」に依存した経済で、「製造業の不毛の地」と揶揄される産業構造など固有の事情が影響しているようだ。他県からの企業進出が少なく、雇用の受け皿も少ないなか、全国平均より高い失業率が地元での開業率を高める状況が続いている。さらに血縁のつながりが強く、親族からの支援が得られやすい土地柄も地元での創業を促進しているのかもしれないとしている。(編集担当:慶尾六郎)