大分県警は真摯・誠実な対応で国民への説明を

2016年08月06日 08:31

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自民党候補(新人)と民進党、社民党など推薦の、野党統一候補(現職)との一騎打ちになった『参院大分選挙区』で、民主主義国家において、あってはならないと思われる事案が起きた

 自民党候補(新人)と民進党、社民党など推薦の、野党統一候補(現職)との一騎打ちになった『参院大分選挙区』で、民主主義国家において、あってはならないと思われる事案が起きた。

現職・野党候補を支援する連合大分東部地域協議会や別府地区平和運動センターの入った建物敷地内に、大分県警が、小型カメラを設置し、人の出入りを隠し撮りしていた。地元紙はじめ全国紙が全国版社会面や電子版で報じた。

大分県警別府署員が参院選挙公示前の6月18日の深夜に、建物敷地内に無断で立ち入り、樹木などにカメラ2台を設置して人の出入りを隠し撮りしていた。建物の関係者が見つけ、署に相談して分かった。カメラは明るみになって撤去された。犯罪捜査に必要なものではなかったのか。

 いずれにしても、今回の行為が『プライバシー侵害』や『建造物侵入罪(刑法規定では住居侵入罪)』にあたる可能性が高い。また国家権力による「選挙活動の監視、特定組合員を対象とした見込み捜査」になっていなかったのか、「労働組合の民主的活動、選挙運動への不当介入」にならなかったのか。背景に政治的動きはなかったのか、公安警察の監視活動ではなかったのか。色々推測可能な話になる。このため、今回の事案は単に「不適切な行為があった」という次元で終結させることはあってはならない。

 大分県警は「設置目的があって、設置をした」はずで、その捜査目的が達成された段階か、あるいは、設置目的を明らかにしても捜査上、影響がなくなった段階の、いずれか早い方で、今回の「設置目的」がどこにあったのか、記者発表し「特定の政治目的のための情報収集活動」ではなかったことを証明する必要がある。

 社民党の又市征治幹事長は5日、「大分県警も『不適切な行為』と認めており、関係者の処分が検討されている模様だが、こうした違法で不当な捜査に厳しく抗議する」との談話を発表した。「このような捜査が繰り返されることのないよう厳しく対処すべき」とも求めている。

 当該事案に関わった署員、上司の処分ももちろん必要だが、それ以上に、国民が知りたいのは、なぜ、ここに設置をしたのか、その根拠の正当性だ。

 又市幹事長は「建物には入居する人たちだけでなく、市民相談などで会館に出入りする多くの市民に不安を感じさせるもので、絶対に許されない。プライバシー侵害の観点からも極めて問題」としている。この点についても大分県警は説明が必要だろう。

 また、民進党の岡田克也代表も4日の記者会見で「断じて許されるものではない」としたうえで「どのような目的で何を監視していたのか。大分に限られたことなのかということも含め、しっかり説明を求めたい」と説明するよう、大分県警に適切な対応を求めている。

 今回の事案。政府に反対する人たちの情報を特高警察と呼ばれる人たちが収集してまわった戦前(筆者は戦後生まれで実態は知らないが)をイメージさせるような出来事で、国家権力による監視社会を懸念させるものだけに、懸念が晴れる真摯で、誠実な対応を大分県警に期待したい。(編集担当:森高龍二)