東日本大震災を大きな節目として、太陽光発電のパネルや独自の電線を設けエネルギーの地産地消を目指す「スマート防災エコタウン」が宮城県東松島市に誕生したのは、記憶に新しいところだ。これは東松島市の事業だが、設計・施工は積水ハウス<1928>が行っている。この事例以外にも街全体の電力の利用をIT(情報技術)で効率化する「スマートタウン」が増えている。こういった取り組みはもちろん自然災害に強い街を作ることが第一義であるがそれだけには留まらない。
街づくりに欠かせない存在であるハウスメーカーだが、防災への取り組みと同時に、昨今は、地域コミュニティの活性化へのサポートも行うようになってきている。
先日、注文住宅のハウスメーカー、アキュラホームは、埼玉県熊谷市のアキュラホーム埼玉北支店オフィス棟「住まいと暮らしサロン」を竣工した。この施設は、木造の可能性を最大限に追求し、工務店の知識・技術力をレベルアップさせ、広く普及することを可能にした住宅用一般流通材と加工技術による木造軸組み工法の最先端の事例だ。
同社は、この施設を、通常の支店機能の他に、地域コミュニティの活性化への手助けという新たな役割を担いたいと考えている。つまり、木造建築の木の温もりに溢れたハードに加えてソフトも充実させたいと考えているのだ。
たとえば顧客や地域住民に対しては、家守り・まち守りの拠点として、豊かな暮らしを実現するための講座の開催や、大工道具や工具、メンテナンス用品の貸し出しを行う予定だ。それだけではなく地域住民による趣味などの各種講座やサークル活動の場として、キッチンを完備した約30名収容が可能なセミナールームを提供するという。
地域コミュニティの場として開放し、その活性化に貢献したいと同社はしている。今までは、このような地域コミュニティの活性化については、自治体が中心となって音頭をとることが多かった。そんな中アキュラホームの新しい試みは、ハウスメーカーのみならず、多くの業種・業界にとって注目に値することである。(編集担当:久保田雄城)