8月に入り、気温が38度を超える地域も続出するなど、日本列島全体が記録的な暑さに見舞われている。各家庭やオフィス等では、エアコンや扇風機などの冷房器具はもちろん、最近では昔ながらの打ち水やすだれ、よしずなどで涼をとるケースも増えているようだ。
そんな中、日射熱を軽減する「窓」への関心が高まっているようだ。これまで、窓から差し込む日射熱を遮ろうと思えば、カーテンやブラインドを閉めるのが一般的だったが、最近は遮熱タイプの複層ガラスが人気だという。
例えば、世界トップクラスのガラスメーカーである旭硝子の遮熱低放射複層ガラス「サンバランス」をはじめ、YKK AP株式会社、LIXILも遮熱性能の高いLow-E複層ガラスに力を注いでいる。
複層ガラスは文字通り、二枚のガラスの間に空気層があり、この層が、放射熱の移動を低減し、高い断熱効果をもたらしてくれる。また、紫外線と赤外線をほとんど通さず、可視光線だけを通すので、明るさはほとんど変わらず高い遮熱効果を実現するのが特長だ。
ただ、新築はともかく、すでに既存の住宅の場合、窓の張り替えには相当の費用がかかってしまうこと、一部屋だけを複層ガラスにしても、複層ガラスを使っていない部屋への熱の移動が起こってしまうことから、できれば家全体の窓を複層ガラスにした方が良いなど、手間やコスト面での課題がある。
そんな中、住友理工が開発した高機能透明フィルム「リフレシャイン」が注目されている。同製品は、窓ガラスの内側に貼り付けるだけで節電対策につながる遮熱・断熱フィルムで、既存の遮熱・断熱フィルムの大きな課題であった採光や視界といった透明性の問題を、ナノメートル単位の薄さの「ナノ機能膜」を何層も重ねる同社独自の最新技術で克服し、遮熱・断熱と明るさの両立を実現した。すでに西武鉄道新宿線・池袋線をはじめ、オフィス、公共施設など、住宅以外でのパブリックスペースでの採用も進んでいる。また、7月21日~8月10日までの期間、イオンモール幕張新都心のペットモール2F の共有通路にて、リフレシャインの体感コーナーが設置され、実際に体験した買い物客から驚きの声が上がっていた。
近年、日本人の省エネ意識は高まってきたといわれているが、それでも世界的にみれば、日本の省エネルギー基準は世界の中で遅れているといわざるを得ない。とくに、複層ガラスの使用率などは欧米各国の10分の1近くだといわれている。リフレシャインの様な優れた技術が一般的に知られるようになれば、日本の省エネ事情も一気に好転するのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)