6月の「円安」関連倒産は今年最少の6件にとどまる

2016年07月10日 20:09

 6月のドル円相場は、円高・ドル安の基調で推移していたが、24日の東京外国為替市場では、英国の欧州連合(EU)を巡る国民投票で離脱派が優勢との観測から、円を買う動きが急激に強まり、午前11時半過ぎに2013年11月以来、2年7カ月ぶりに1ドル=99円台を付けた。

 東京商工リサーチによると、こうしたなか、2016年6月の「円安」関連倒産は、速報値ながら4月と並び今年最少の6件(前年同月24件)にとどまったという。ただし、円安や円高に関わらず、振れが大きな為替変動は、中小企業の経営に影響が大きいため今後の為替相場の動きから目を離せないとしている。

 電子玩具製造販売のワイ・シー・トイズ・ラボ(TSR企業コード:575208058、法人番号:7120001107230、大阪府)は、大手玩具メーカーに対して製品の企画提案を行い、中国の外注先で生産委託する体制を敷いていた。ベンチャーキャピタルから出資を受けるなどで年々業容を拡大し、平成24年7月期には売上高4億2,964万円を計上していた。しかし、急速に進行した円安を背景に25年7月期は売上高が2億9,692万円まで低下し、赤字経営に陥った。その後も円安基調が続くなかで、業績の立て直しが難しいことから破産を申請した。

 また、衣料品、雑貨販売のノアーズトレーディング(TSR企業コード:300334958、法人番号: 3011001097220、東京都)は、ヨーロッパからの輸入品を取り扱い、大手百貨店などを販路としていた。しかし、円安による経営環境の悪化を受けて経営が軌道に乗らず、平成27年11月に事業を停止して破産に踏み切った。

 2016年上半期(1-6月)の「円安」関連倒産は60件(速報値・前年同期比34.7%減、前年同期92件)だった。中国や新興国などの景気減速から資源価格が低下し、円安が必ずしもコスト高に直結していないことが影響した。こうしたなか、産業別では小売業(5→6件)が前年同期を上回った。今後も輸入品などを扱う企業の動向が注目されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)