IoTをさらに前に進めるための課題と日本の技術

2016年08月13日 19:33

画・Apple WWDC2016て_もテ_ータフ_ライハ_シー重視の方針

現在開発がすすめられている分野以外でも、新しいモノのネットワークが生まれるかもしれない。IoT端末が300億台に達するといわれる2020年、どんな未来が見られるのか今から楽しみだ。

「モノのインターネット」(Internet of Things:IoT)は、社会生活を便利にするだけでなく、各産業のビジネスを加速させたり、産業構造をも大きく変革する可能性を秘めている。IDC Japanが発表した調査結果によると、2015年の日本国内のIoT市場規模は前年比15.2%増の6兆2232億円。2020年には世の市場規模界規は1.7兆米ドルにまで増大するそうだ。日本国内の市場だけでも2020年までIoTの年間平均成長率は16.9%と言われ、市場規模は13兆7595億円にまで拡大し、ネットワークにつながるIoT端末は300億台に達すると予測されている。

現在、IoTはスマートフォンやタブレットなどを主体にしたものが主流だが、今後はあらゆるものが媒体となって展開していくといわれている。

例えば、パナソニックが開発を進めている「スマートミラー」などが面白い。鏡にカメラやモニター機能を搭載し、肌の状況分析、メイクアップのシミュレーションがバーチャルで行えたりする。また、同じスマートミラーでもGoogleの技術者が開発したものは、洗面台の鏡に日時や天気予報、ニュースのヘッドラインなどをリアルタイム表示することもできるという。

また、NECはIoTを使って、斜面の微弱な振動から地すべりや土石流などの土砂災害を察知して警告を発する、世界初の土砂災害を検知サービスの実証実験を開始している。これが実用化されれば、IoTの技術を用いて土砂災害の被害を未然に予防することも可能になるであろう。

このように家庭内や産業ビジネス、福祉や社会生活などで拡大しているIoTだが、急速な発展に伴って、いくつかの大きな課題も抱えている。

その中でも一番の課題は、開発環境と人材の問題だろう。IoTを身近に実現するためには、アプリケーションの構築からデータ通信、サーバ、ネットワーク環境の構築など様々な技術が必要となる。当然、それを扱う人材や開発環境が必要となるわけだが、新しい分野のため、現状ではその確保が難しい。とくに、アンテナ設計や各種回路調整、経験やノウハウが必要とされる無線通信製品の開発は容易ではなく、事前にそれらを評価することも困難である。

そんな中、無線通信技術で業界トップクラスの実績を持つロームのグループ企業であるラピスセミコンダクタが、BluetoothRスペックv4.1対応2.4GHz無線モジュールを搭載したUSB 評価キット「MK71251-xxx-EK シリーズ」を開発、インターネットでの販売を開始した。このUSB評価キットの特長は、PCに差すだけで、無線モジュールの評価やシステムの開発が可能であり、購入したその日から誰もが手軽に評価することができるという点である。無償のソフトウェア開発キットとスマートフォンアプリも準備しているため、気軽にIoTの環境を実現したいと考えている人にとっては嬉しい製品であろう。

このように開発環境が少しでも簡略化され、負担が少なくなれば、IoTの普及もさらに加速することだろう。また、現在開発がすすめられている分野以外でも、新しいモノのネットワークが生まれるかもしれない。IoT端末が300億台に達するといわれる2020年、どんな未来が見られるのか今から楽しみだ。(編集担当:藤原伊織)