総理 戦没者追悼式に加害者としての文言なし

2016年08月16日 08:05

 安倍晋三総理は終戦記念日の15日、都内で挙行した「全国戦没者追悼式」での式辞に「祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に斃れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遥かな異郷に亡くなられた御霊、皆様の尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません」と祖国を思い亡くなった英霊やその親族らに思いを示したが、日本の侵略行為や植民地支配により犠牲となった内外の戦没者への哀悼の意は文言に無かった。

 歴史に触れたのは「平和への取り組みを積み重ねる。戦争の惨禍を決して繰り返さない」と述べた後の「この決然たる誓いを貫き『歴史と謙虚に向き合い』世界の平和と繁栄に貢献し、万人が心豊かに暮らせる世の中の実現に、全力を尽くしてまいります」と語った部分の「歴史と謙虚に向き合い」の一節に過ぎなかった。

 歴史認識の中で、国会でも先の戦争は侵略戦争かと野党議員から確認されると「侵略」という言葉を一切使って来なかった安倍総理の認識や姿勢が垣間見られる式辞内容となった。

 野党はもちろん、与党・公明党も党の終戦記念日アピールにおいて「日本は戦前、独善的な軍国主義にとらわれ、アジア・太平洋の諸国に対して植民地支配と侵略を重ね、かけがえのない多数の生命を奪い、多大な苦痛と損害を与えた」と時の政府の誤り、過去の過ちを認めるとともに「先の大戦で犠牲となられた『内外の全ての方々に謹んで哀悼の意を表す』とともに、ご遺族ならびに今なお深い傷痕に苦しむ皆さまに心からお見舞いを申し上げます」としているのとは、大きな差がみられる内容となった。(編集担当:森高龍二)