運用コスト2割削減も 人事、経理などの定型業務をロボットが代行

2016年08月17日 18:10

 デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)は、業務の生産性向上手段として注目されるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入サービスを本格展開すると発表した。RPAはこれまでの人間のみが対応可能と考えられていた作業を、AI、機械学習等を含む認知技術を活用して人間の替わりに実施できる仕組み。工場でロボットが組立やパッケージングをするように、人事、経理財務、営業事務などの業務領域で人間の行う処理と全く同様に各種アプリケーションを操作することができるソフトウェアを活用し、ホワイトカラー業務の大幅な自動化・効率化を可能にする。RPAでは大規模なシステムの導入などを必要とせず、従来のERPやメールソフト、表計算ソフト等基幹システムはそのまま活用可能。短期間、低コストでの導入が特徴。

 サービス展開に先立って、DTCは自社のバックオフィスで行っている一部業務(プロジェクト案件受注~契約管理業務)にRPAを導入し実証を行った。5つの業務プロセスをロボットで完全に代替し、基幹システムなどの改修を伴うことなく短期間(約8週間)で導入を完了。周辺業務含め、全体の2割超のコスト削減に効果があると評価されたとのこと。現在も適用範囲の拡大を行っており導入効果を更に高めていく。今回の実証結果、グローバルでの広範な導入事例をもとに顧客へのサービス提供を本格化させる方針。

 RPAは従来のコスト削減や品質・生産性向上手段の一環として行われていたアウトソーシングや、オフショアにおけるシェアードサービスや、IT導入の取り組みを劇的に進展・補完する技術として注目を集めており、人が作業する数百倍のスピードでミスなく実行され、フローの変更にも柔軟に対応、24時間体制の処理も可能となる。RPA導入による効果は作業の30%~70%を削減できるとの試算もあり。人間はより付加価値の高い業務に人手にリソースを割くことができるようになる。国内ではRPAは少子高齢化に伴う労働生産人口不足の解決策としても期待されており、7月20日に設立された「一般社団法人日本PRA協会」などを中心に、RPA普及による産業構造の変化が推し進められる。世界的には、今後2025年までに1億人以上の知的労働者、あるいは1/3の仕事がRPAに置き換わると予測されている。(編集担当:久保田雄城)