生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感の高まりがみられるなか、政府は女性の活躍促進を成長戦略の重要政策として打ち出している。また、企業においては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位置付けられるなど、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業の成長に女性の活躍が不可欠という認識も高まっている。
そこで、帝国データバンクは、女性の活用や登用に対する企業の見解について調査を実施した。まず、自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」と回答した企業は 28.2%であった。また、「10%未満」(24.1%)と「0%(全員男性)」(5.7%)を合わせると、女性従業員割合が 10%に満たない企業は 29.8%で、女性従業員割合は平均 24.2%となった。2015 年と比較すると、「30%以上」(28.3%)、10%に満たない企業(29.5%)、女性従業員割合(平均 24.2%)ともに、ほぼ同水準という結果となった。
他方、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、「30%以上」とする企業は 5.6%にとどまったものの、「20%以上 30%未満」(4.3%)と「10%以上 20%未満」(7.4%)が前年より上昇した。逆に、半数の企業は「0%(全員男性)」だった。その結果、女性管理職割合は平均 6.6%となり、2015 年より 0.2 ポイント上昇した。
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、「0%(全員男性)」が 60.3%で 6 割を超えている。さらに、「10%未満」(15.3%)と合わせると、女性役員が 1 割に満たない企業は 75.6%と前年より 1.0 ポイント低下した。また、「30%以上」とする企業も 11.3%で、女性役員割合は平均 8.7%と 2015 年から 0.3 ポイント上昇した。
女性管理職の平均割合を規模別にみると、規模が小さくなるほど女性管理職の割合は高い。業界別では、前年に続き『小売』『不動産』『サービス』『金融』で高く、『運輸・倉庫』『建設』『製造』などで低かった。『金融』では前年から 1.7 ポイント上昇しており、「身近な女性従業員で女性管理職のロールモデルを作り展開していきたい」(大阪府)といった、社内での事例を積み重ねながら女性の登用を進めている様子がうかがえる。さらに、『サービス』は、「娯楽サービス」や「人材派遣・紹介」が前年のランキング外から 10 位以内に上昇している。企業からも、「女性比率の高い職場のため、従来、男女問わず、能力や実績を考慮した活用・登用を実施している」(フィットネスクラブ)や「有能であれば男でも女でも登用する」(民営職業紹介)など、男女問わず能力に応じて登用しているという声があがったという。
女性管理職の平均割合は前年から0.2ポイント上昇するなど、少しずつ増えているものの、依然として1ケタ台にとどまる。また、業界別にみると、最も高い『小売』と最も低い『運輸・倉庫』で9.3ポイントの開きがあり、業界間格差は前年(8.4ポイント)よりも拡大したとしている。(編集担当:慶尾六郎)