野田佳彦前総理が、天皇陛下が「生前退位」の意向を強く示唆される事態を招いたのは「政治の不作為が最大の原因です。私も関係者の1人として、猛省している」と22日のブログに書き込んだ。
この中で「陛下はご自身の存在を憲法第1条の国民統合の象徴であることを強く意識され、憲法第7条に規定されている種々の国事行為を行われています。これに伴う公務は、閣議決定書類への署名・押印が年間約1000件、晩餐会などの主催行事が約200件など、実に様々」と政府の閣議決定書類に署名・押印することも公務に入っていることもあげた。
また、地震被災地への慰労やサイパン、パラオ、フィリピンなど先の大戦の激戦地を訪ねられての慰霊など「新たな公務」もされたことをあげ「国事行為や公務をしっかりと行うことが象徴天皇の責務であると自負されており、公務負担軽減や天皇の国事行為を代行する摂政の設置については、お言葉の中で改めて望ましくないことを明らかにされた」。
こうしたことを踏まえて、野田前総理は「自分が元気なうちに次の皇位継承者に引き継ぎたいというお気持ちを素直に受け止め、超高齢社会における象徴天皇制や皇室のあり方を考えるのが筋」との認識を示し「明治憲法ができた当時のままの内容となっている現行の皇室典範の改正に踏み込むのか、一代限りの特例法で対応するのか」がまず取り組むべき課題とし「私は陛下の問題意識を恒久的かつ普遍的なものと受け止めるなら、皇室典範を改正すべきだと思う」と提起している。
野田前総理は「平成に入り、典範改正に挑んだことが2回ある」ひとつは「小泉内閣。2005年11月、有識者会議が女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認める最終報告書を提出した。しかし、悠仁さまのご誕生があり、男系主義を主張する一部保守派の強い反発もあり、立ち消えになってしまった」。ふたつめは「野田内閣。男系か女系かといった皇位継承問題を切り離し、皇族減少の対応に絞って有識者からヒアリングを行った。そして、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設などを検討する論点整理を、12年10月に公表したが、同年末の総選挙で敗れ、頓挫してした」。
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ…」と、陛下もお言葉の最後に結んでいます。典範改正については「生前退位に限ることなく、もう少し幅広に検討すべき」と提案している。(編集担当:森高龍二)