ソニーモバイルコミュニケーションズと東京電力エナジーパートナー(EP)は、スマートホーム分野において、あらゆる機器がネットにつながるIoT(モノのインターネット)技術を活用した住宅サービスで業務提携する。家電の遠隔操作による制御で省エネにつなげるほか高齢者や子どもの見守りサービスを来年にも共同で始める。通信やセンサーの技術に強いソニーと電力の顧客網を持つ東電HDが組み、産業用途が先行していたIoTで家庭向けのサービス基盤を立ち上げる。
ソニーモバイルは、双方向のコミュニケーションを可能にする商品や通信技術、わかりやすいユーザーインタフェース・デザインおよびサービス・ソリューション構築のノウハウがあり、東京電力EPは、顧客基盤およびHEMS(ホームエネルギー・マネージメントシステム)を含む電気使用に関する技術やノウハウを持っている。
両社は、今回の基本合意書締結を通じて、利用者のライフスタイルに合わせたサービスの企画・開発を行ない、フィールドトライアル検証。業務提携の契約締結を経て、IoTを活用したサービスの開始を目指す。今回の提携で目指すのは、高齢者の見守りや家電の管理など個別に提供されてきた家庭向けサービスを一元化すること。東電が持つ約2000万件の顧客網を対象にサービスを提供する体制を整え、家庭向けにIoTを活用した新サービスを浸透させる。
IoTはインターネットを利用して空調やオフィス・向上などの電気機器の状態をデータとして集めて、革新的なサービスや製品につなげる技術。工場などでの生産管理、建機の稼働状態を把握するなど産業用途で浸透してきたが、一般家庭での普及はなかなか進んでいない。
今年から東京電力が進めるスマートメーター設置などとスマートフォン(スマホ)やIoT事業を手がけるソニーと東電傘下の東京電力EPが手を組んで、新サービスを立ち上げる。
ソニーモバイルがデータ取得や通信の機能を持つ小型機器などを提供するとし、エアコンや照明、冷蔵庫といった個別の家電ごとの稼働状況や電力使用量、室内の温度をリアルタイムで集約する。スマートメーターで家庭が使用した電力使用量を計測するのと並行してデータを集め、家電の使用状況を把握し、両社協働で省エネにつながる機器制御に乗り出す可能性を秘めている。
今年4月に始まった電力小売りの全面自由化で新電力との競争が激しい。東電は異業種との提携による新サービスで顧客のつなぎとめを狙う。(編集担当:吉田恒)