市場調査、分析サービスを提供する矢野経済研究所によれば、2015年クラウド基盤サービス市場の事業者売上高は、前年比39.1%増の1,260億円と大きく成長したとのこと。複数のクラウドを使い分けるハイブリッドクラウドやマルチクラウドの利用が拡大しており、それに伴う情報システム部門の負荷増加から、クラウド環境を統合管理するマネージドクラウドサービスを利用する企業も増えている。
市場調査、分析サービスを提供する矢野経済研究所によれば、2015年クラウド基盤サービス市場の事業者売上高は、前年比39.1%増の1,260億円と大きく成長したとのこと。複数のクラウドを使い分けるハイブリッドクラウドやマルチクラウドの利用が拡大しており、それに伴う情報システム部門の負荷増加から、クラウド環境を統合管理するマネージドクラウドサービスを利用する企業も増えている。また、ITインフラの構築や運用保守が不要で、ビッグデータ解析や機械学習といったさまざまなツールが最初から提供されているPaaS(Platform as a Service)が、企業のIoT導入のハードルを下げるとして急速に市場拡大している。
いっぽうでIDC Japanの調査によれば今年4月の段階で、国内IoTユーザー企業の成熟度はほぼ半数でステージ2の「限定的導入」にとどまり、ステージ5(最上位)の「継続的革新」となったユーザーはわずか0.6%のみという結果が出ている。ステージ3以上へのシフトが遅れている理由にIoTに関わる技術標準が乱立しその選定が難しいことや、情報セキュリティ上の不安が払拭できないことがあるが、PaaS利用の本格化によりIoT導入支援サービスなど課題を解決する手段が提供されれば、企業のIoTへの取り組みが活性化すると予想される。
従来、高い技術力や資本力がないとIoTビジネスに取り組むことができないと考えられてきたが、クラウド基盤サービス活用により、企業のシステムの開発や保守への技術的、費用的、時間的負担が軽減される。このことにより、中規模ユーザー企業の中からもPaaSなどのクラウド基盤サービスを利用してIoTビジネスに取り組む企業が出始めている。こうした流れを受けて、矢野経済研究所は16年以降でのクラウド基盤サービス市場高成長を予測しており、19年のクラウド基盤サービス市場規模は3,500 億円に達するとしている。
今後もクラウド基盤サービスの活用性は向上すると考えられ、企業のIoTビジネスへの取り組みにおいて中核的存在となることは必至。エンドユーザーのニーズを満たすサービスやシステムの提供において、企業とITベンダーとの連携がより重要になると考えられる。(編集担当:久保田雄城)