Facebookがユーザーのフィードに表示される広告を管理できる機能を追加すると発表した。ユーザーは広告を表示したくない分野を削除することができ、広告を表示させる分野を自分で選択できる。これによってユーザーのWeb体験を阻害することなく広告配信が可能になる。
Facebookがユーザーのフィードに表示される広告を管理できる機能を追加すると発表した。ユーザーは広告を表示したくない分野を削除することができ、広告を表示させる分野を自分で選択できる。これによってユーザーのWeb体験を阻害することなく広告配信が可能になる。広告設定の利用者権限を強化する目的は、あくまで広告を表示させることだ。近年、広告ブロックソフトがWebサービスの広告収益に影響を与えている。アイルランドの企業PageFairとアドビによる試算では、2015年における広告ブロックソフトによる損失は220億ドル(約2兆2000億円)とのことで、広告収益モデルで成り立っている多くのサービスにとっては深刻な問題だ。それに加えて広告ブロックソフトの利用率は益々高まっていることがわかっていて、15年6月までの12ヶ月間に、米国における広告ブロックソフト活用ユーザーは48%増加したとされている。
いっぽうでネット広告最大手のGoogle(昨年のモバイル広告売り上げに占める割合は、FacebookとGoogleの2社で市場の50%以上となっている)は広告ブロックソフトによる影響は限定的だとしている。実際Googleの親会社、アルファベット今年の第2・四半期決算ではモバイル広告が順調に伸び、前年同期から21.3%増加している。広告配信を健全に行うためには、広告の読み込み時間のスピードを上げたり関連性の高いモバイル広告を提供するなどユーザーにとってより良い広告体験・Web体験を提供することがネックとなっている。
ユーザーにとってのWeb体験を極力邪魔しないような広告の表示方法として、表示広告をユーザーが選択するモデルは以前から望まれていたもの。今回Facebookが広告ブロックソフトをすり抜ける機能とともに実装を発表したわけだが、広告ブロックソフト側もこれに対抗する策を講じた。Facebookの広告管理機能発表からわずか二日目には広告ブロックソフト「Adblock Plus」がFacebookでの広告ブロックを有効にする方法を発見。今後もFacebook側の広告ブロックソフト対策に対抗する姿勢を見せている。ユーザーが望まない広告を勝手に表示することはユーザーのWeb体験を低下させ、プライバシーを侵害しているという意見もあり、いっぽうでGoogleやFacebookなどのユーザーにとって有益なサービスを提供する事業者は広告による収益に依存しており、広告表示を望むかはユーザーの判断に委ねられる。サービス側と広告ブロックソフト側のいたちごっこは今後もなくなることはないと予想され、どの程度の広告であれば許容されるかを考慮したサービス設計が望まれる。(編集担当:久保田雄城)