24日午前5時29分頃、北朝鮮は潜水艦からの弾道ミサイル発射実験を行った。安倍総理は6分後「情報収集・分析に全力を挙げ、国民に迅速・的確な情報提供を行うこと」などを指示した。
迅速・的確な情報提供が航空機や船舶の安全確保につながると同時に、国民の安全・安心につながる。
結果(1)発射された弾道ミサイルが潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)であること(2)北朝鮮東岸の新浦(シンポ)付近から東北東方向に発射されたこと(3)弾道ミサイルが約500km飛翔し、日本海上に落下したことは比較的早くに発表された。
しかし、政府の情報提供が韓国メディアなどにみられる韓国政府側情報提供に比べ、極端に少ないように感じた。(1)SLBMに固体燃料が使われ、1段目と2段目の分離に成功したと推定されること(2)SLBMが高度400キロ以上に達し、50キロ上空からマッハ10の速さで下降したこと(3)通常の角度で発射された場合、射程が1000キロ以上になったとみられること。これらの情報は韓国軍当局の見方を報じた韓国メディアから得た。
さらに、潜水艦からの発射による500キロ飛翔の事実から、佐藤正久元防衛大臣政務官は「実験成功を率直に受け止めるべき」とし「潜水艦は探知が難しい為、事前に発射兆候を見つけるのも困難、かつ地上発射式と違い、発射後の打ち返しも水中を移動する為、難しい。在日米軍基地等も射程圏内」と懸念を強めている。
米朝間の緊張が高まれば「在日米軍基地」が攻撃される可能性が高くなることは誰も否定できない。こうした課題に政府としてどう対応しようとしているのか。国民の安全安心を確保するのは政府の責任と安保法制の国会審議で相当強調してきた安倍政権。
韓国政府の発表や海外メディアの情報から、弾道ミサイルの性能などの情報を得ることができ、防衛省からの発表に性能についての積極的な情報提供がないことに違和感を持つ。
防衛に絡むため、特定秘密にすべき事項や情報収集・分析、対応能力など、相手国に知られないための対策は必要だが、韓国政府が発表している程度は日本政府も発表すべきだろう。
今回のSLBMが50キロ上空からマッハ10の速さで下降したことなどの情報を得ることで、韓国同様に、日本においてもTHAAD配備の必要があるのかどうか、専門家以外の者が知ってどうするといわれるかもしれないが、THAADならマッハ14まで対応できるなど、こうした情報提供から国会で議論になった場合、政府対応、与野党の主張に、国民が判断材料を持つことにもなるのだろう。基本は「事実に対し透明性を高めること」。政府には防衛に関する発表の在り方の工夫を求めたい。(編集担当:森高龍二)