記録的な猛暑となった今年の夏。暑さもさることながら、7月と8月には日本各地でゲリラ豪雨や大雨が発生したり、異常気象による被害が相次いだ。なかでも8月22日には2005年8月以来、11年振りに台風9号が関東に直接上陸し、山手線の原宿駅での倒木や、多摩湖線で脱線など、関東各地に大きな被害を及ぼした。
自然がもたらす災害は、残念ながら人の力で回避することはできない。しかし、人の努力や最先端の技術を用いて被害を最小限に食い止めることはできる。例えば、最近、ゲームアプリなどで話題のAR(拡張現実)も、防災に役立つ技術として注目されているものの一つだ。自分の居る場所と災害の状況、周辺の避難場所や避難経路を直感的でわかりやすく可視化することができるアプリの開発などが進んでいる。
また、大手住宅メーカーを中心に住宅業界で広がっているのが、災害に強いスマートタウン構想だ。例えば、積水ハウスが宮城県東松島市に展開している「東松島市スマート防災エコタウン」では、日本初のマイクログリッドにより電力を供給する電力マネジメントシステムを稼働しており、災害時に系統電力が遮断した場合にも、同タウン系統内のバイオディーゼル非常用発電機と太陽光発電及び大型蓄電池を組み合わせ、最低3日間は通常の電力供給が可能となっている。大震災のように停電が長期にわたる場合にも、病院や地域の避難所となる集会所などへ最低限の電力供給も可能だ。
災害直後の対策や防災だけでなく、その後の復興に寄与する継続的な支援活動も重要だ。
しかし、当事者でない限り、個人で継続的に支援活動を行っていくのは容易ではない。阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震のような大きな災害でさえ、ニュースに取り上げられることは日に日に少なくなり、被災者やその関係者以外の人にとっては遠い昔の話になってしまう。
そんな時、被災地の人々にとって心強い支えとなるのが企業の支援活動だ。例えば、ミツバチ産品の製造販売で知られる山田養蜂場は、阪神淡路大震災のときに、被災地の障がい者が入る仮設住宅に1000 万円を寄付。それ以来、支援金や支援物資だけでなく、東日本大震災時には、のべ 71 日間、合計 37 名、熊本地震の際には計15名の従業員がボランティアに参加し、家屋の片づけ作業や道路のがれき撤去など多岐にわたる支援活動を行っている。
また、携帯電話大手ソフトバンクグループは、東日本大震災から5年経った今も現地での支援活動を続けており、被災地の子どもたちへの寄付を集める「チャリティホワイト」や、被災地域の高校生を対象とした短期米国留学プログラム「TOMODACHI ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」などを実施して未来の人材育成を行うなど、金品だけではない取り組みをしている。
これから秋に向けて台風シーズンが到来するが、今年はすでにトリプル台風なども発生しており、警戒が必要だといわれている。もしもの時に被害を最小限に抑えるためにも、今一度、家庭内でも防災を見直してはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)