日本郵便は2017年から1月2日の年賀状配達を取りやめる方向で最終調整を始めた。人件費の負担が大きいと判断したとみられる。1月1日と3日は例年通り年賀状は配達される。その背景には年賀状を送り合う文化の衰退があった。
近年、年賀状の代わりにメールやSNSなどでの新年の挨拶が増加している。年賀状のピークは2003年の44億枚。それが16年度には28億5329万枚まで減少している。8年連続の減少であり、これはピーク時の3分の2にあたる。このように、数字の面からも年賀状文化の衰退が見て取れる。
このような背景から、1月2日の年賀状配達の取りやめに繋がったようである。そもそも、1月2日の年賀状配達は日本郵政公社時代の2005年から顧客サービスの一環として再開された。この時期は年賀状によって繁忙期に当たり、配達は臨時でアルバイトを募って行われていた。そのアルバイトの人材確保が年々難しくなっているのも理由の一つになるだろう。減り続ける一方の年賀状のためにアルバイトを苦労して雇うというのは理にかなっていない。また、1月2日分のアルバイトを雇わなければコストの削減にもつながる。親会社の日本郵政<6178>が15年11月に上場し、市場からの収益の向上を求められるようになったのも大きな影響になっただろう。
ここ数年、年賀状は出していないという人も多いのではないだろうか。逆に、受け取る年賀状の枚数が年々減っていても気に止めることも少なくなったという人がほとんどだろう。そのため1月2日の配達が取りやめになっても、困るという人は少ないように感じる。ハガキを買って、住所を書いて、投函してという流れはメールでやりとりをすることに慣れてしまった世代にはとても面倒な事になってしまった。2017年1月2日の年賀状配達は取りやめになるが、はたして5年後、10年後はどうなっているだろうか。年賀状を送り合う文化がなくなることを寂しく感じる人も多いとは思うが、年賀状を送らないことが普通になる事が一般的になる未来は想像に固くない。(編集担当:久保田雄城)