ボリンジャーバンドでは、23日終値は25日線からわずか39円上なので、25日線-1σの16507円と+1σの16923円のニュートラル・ゾーン「ど真ん中」で、上にも下にも動きやすい位置にある。-2σは16299円、+2σは17131円に位置している。
オシレーター系指標は、週間で234円上昇したのに不思議なことに「売られすぎ」シグナルが点灯している。-62.9で売られすぎ基準の-50を下回ったRCI(順位相関指数)がそれで、5勝7敗で41.7%のサイコロジカルラインもやや低いポジションにある。それとは反対に騰落レシオは114.8で、けっこうハイポジション。前週は3営業日しかなく、21日の日銀会合直後の後場の急騰に指標がついていけていない面もあったようで、その点は割り引いて考える必要があるだろう。それ以外の指標は、25日移動平均乖離率は+0.2%で、48.5のストキャスティクス、44.1のRSI(相対力指数)、44.0のボリュームレシオとともに、23日終値がニュートラルなポジションにあったことを示している。
9月16日時点の需給データは、信用買い残は9日時点から697億円増の2兆2412億円で2週連続の増加。信用倍率(貸借倍率)は2.86倍から3.04倍へ4週ぶりに上昇した。信用評価損益率は-11.90から-13.57へ3週ぶりに悪化した。メジャーSQの日の9日、その前の週に比べてほぼ半減して驚かせた裁定買い残は、65億円の小幅増の3451億円で引き続き近年にない低水準のまま。裁定買い残と裁定売り残が逆転する18年ぶりで「21世紀初」の異常事態も続いている。なお、9月12~16日の投資主体別株式売買動向は、26日にならないと東証から発表されない。
前週のカラ売り比率は、20日が43.4%、21日が42.6%、23日が37.2%だった。前々週に引き続いて20、21日は40%を大きく超えていたが、23日は一転、40%を割り込んだ。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)は、16日終値は23.84で20日も24をオーバーしていたが、21日は21.27、23日終値は19.47へ下がった。どちらも日米の中央銀行イベントを通過するとクールダウンしており、結果が出て通過することそれ自体にも意義はある、ということ。
23日のNYダウ終値は4日ぶりに反落し131ドル安。原油先物価格の44ドル台への下落が響いた。NY時間のドル円は101円近辺、ユーロ円は113円台前半。CME先物清算値は16580円、大阪先物夜間取引終値は16600円で、配当権利落ち分110~120円を加えると16690~16720円。為替の大きな変動や突発的な変事がなければ、26日の日経平均は16700円近辺で始まりそう。16715円に25日移動平均線もあり、おさまりもいい。
今週は3月期決算銘柄の9月中間期の権利確定ウィークで、27日が配当権利付き最終売買日、28日は配当権利落ち日。28日には日経平均は朝の寄り付きで配当権利落ち分(推定110~120円)が自動的に下落する。もちろん始値は他の要素によっても変動するから、正確に配当権利落ち分のマイナスで取引が始まるわけではないが、テクニカル的にはそこで意識されそうなのが日足一目均衡表の雲の上限(28日は16565円)だろう。
しかし、今週の下値のメドとして雲の上限の16565円というのは、ちょっと高すぎる。短期的には今週は産油国イベントが多く原油価格下落によるNYダウの軟調が懸念され、中期的にはドル円100円台の円高傾向が今秋ずっと続きそうだからだ。「場合によっては100円割れもありうる」という円高は、単なる需給要因でそうなるのではなく、利上げの先送りというFOMCの結果による構造的なもの。100円割れを起こすとほとんどの企業の下期の想定為替レートを下回るので、業績悪化懸念が株価の重しになってくる。
それも加味すると、今週の下値メドは「雲」の中に足を突っ込んで75日移動平均線よりも下の16300円付近で下げ止まるとみる。ボリンジャーバンドの25日線-2σの16299円が、そこに位置する。
一方、上値のほうは前週に16800円にタッチしたものの、それは日米中央銀行イベントの結果で勢いまかせに跳ねてそうなった感もあり、今週の「17000円台乗せ」の実現は、たとえば「トランプ氏が大統領選挙の立候補を取りやめる」というような、よほどのサプライズでもなければちょっと期待薄だろう。16854円の200日移動平均線を超えても、ボリンジャーバンドの25日線+1σの16923円の手前の16900円あたりが関の山か。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16300~16900円とみる。
株式投資の配当利回りは日経平均採用225種平均で約1.82%ある。銀行預金に比べたらケタ違いに良い。株主優待も、自社製品や食事券や回数券が提供できない企業はその代わりにコンビニで使えるQUOカードを配布するなど、充実をみせている。今週は中間期の権利確定ウィークで、配当取り、優待権利取りから株式投資に入門するには年に2回しかないチャンス。はたしてそれによって、薄商いに苦しむ東京市場に個人投資家増の明るい兆しは出てくるだろうか?
「配当や株主優待で釣るとは邪道だ」と言うなかれ。始めるきっかけは、そんなことでいい。それでも後々、投資家として成功をおさめる人が出るかもしれない。ロック界のスーパースター、エリック・クラプトンは、少年時代にギターを始めたきっかけは「女の子にモテたかったから」だと公言している。(編集担当:寺尾淳)