アニメツーリズム協会設立で聖地巡りはどう変わるか

2016年09月25日 20:25

画・アニメツーリズム協会設立で聖地巡りはどう変わるか

訪日外国人の増加が期待される現在、新たな層とリピーターの獲得は必要不可欠である。そのような背景があり、アニメツーリズム協会が設立された。アニメ聖地を中心とした観光コンテンツを基に地域や企業、観光客を繋げ、官民が連携して送客を促進していく。

 現代の日本において「聖地」といえばエルサレムを思い浮かべる人はどの程度いるだろうか。いまや「聖地」とはアニメや漫画の舞台となった場所というイメージが強い。そのようなアニメの聖地を日本全国から88ヶ所選定、組織化する「アニメツーリズム協会」が設立された。アニメ聖地による観光資源の掘り起こしや訪日観光客のエリア送客の促進を行っていく。

アニメ聖地とは「アニメや漫画の舞台やモデルになった地域や場所」というイメージがあるが、これに加えて「作家ゆかりの街や生家、記念館」、「作品等に関する博物館、建造物、施設」も含めた形で定義されている。これらのアニメ聖地を広域観光周遊ルートとして官民連携で造成していく。さらにアニメ聖地を有する地域と企業、コンテンツホルダーも繋げて新たな経済効果を創出するという。こうして整備されたアニメ聖地を海外、国内へのクールジャパン・コンテンツファンへ発信することも重要だ。このように、アニメ聖地を中心に観光客と地域、企業の連携を行っていくのがアニメツーリズム協会の主な目的である。

 2015年の海外からの訪日観光客数は約2000万人となり、今後も増加することが期待されている。政府が新たに発表した目標によると、東京オリンピックが開催される20年には約4000万人、30年には約6000万人となっている。これを達成するためには観光インフラの整備はもちろん、新たな層の獲得やリピーターの獲得が不可欠である。このような近年の訪日観光客の状況がアニメツーリズム協会設立の背景にある。

 海外のクールジャパン・コンテンツファンはアニメ聖地に対して憧れを持ち、訪日の際はぜひ立ち寄ってみたいと思うニーズが高まっているという。また、おにぎりなどの家庭料理や制服、学校の様子、街並みなどアニメで描かれるさりげない日本文化への興味も尽きない。そのような細かいニーズも汲み取って、厳しいファンの目を満足させるコンテンツの創出に期待したい。(編集担当:久保田雄城)