フランスの若者には「お守り」が人気。観光対策のヒント?

2016年03月30日 08:42

 JTB総合研究所は、「日本へ旅行したいと考えているフランス人のライフスタイルと旅行に関する調査」の結果を発表した。フランス人の若者はアニメやマンガとともに、弁当箱やお守りなど日本の文化に興味を持っていることが分かった。

 2015年の訪日外国客数は約1974万人で、45年ぶりに日本人の海外旅行者数を逆転した。訪日客の多くがアジアからの旅行者だったが、欧州からの旅行者も伸びており、英国、フランス、ドイツなどからの旅行者数は過去最高を記録した。日本の自治体の欧米観光客への取り組みでは、最も多い14の都道府県がフランスに力をいれていて、2015年の訪日フランス人旅行者は、21万4,300人と、前年より20%増加した。そのフランス人たちが日本のどこに魅力を感じ、どのような旅行をしたいのかを調査した。

 日本に旅行したいと考えている割合は全体の75.5%で、うち3年以内の旅行計画を立てている人は全体の24.4%だった。年代ごとでは、18~29歳で35.1%、30代は37.7%が3年以内の旅行計画を立てており、若い世代の意向が高いことがわかった。同研究所では「円安や欧州でのプロモーション効果もあり、日本への旅行人気が高まった」とみている。

 また、フランス人の情報発信力を知るために、同研究所独自の分析を加えたところ、日本へ旅行したいと考えているフランス人は、「メリハリ消費」「合理派」などを抑えて「共感」タイプが 39%と最も多い結果となった。共感タイプとは「SNSの利用率が高く、みんなと共有したいというつながりを重視。他人の目を意識し流行は押さえておきたいものの一つ。社会的模範意識が高い」という特徴があるという。このタイプは消費におけるインフルエンサーとしての役割があり、体験を周囲と共有して広めていくタイプが多いとしている。

 日本に興味を持ったきっかけは「日本に関するテレビ番組や映画(46.2%)」「日本料理を食べて(35.8%)」「家族や友人から話を聞いて(24.0%)」などとなった。18~29 歳以下、30 代は「アニメや漫画を見て(全体15.0%、18~29歳30.8%、30代23.4%)」が他世代より高く、逆にテレビや映画の影響は低い結果となった。また 18~29 歳は他の世代より「東日本大震災があり、がんばって欲しいと思った」という回答が多かった(全体6.6%、18~29 歳15.4%)。同研究所では「テレビ離れや社会貢献への意識などは20~30 代前半のミレニアル世代の持つ共通の特徴で、フランスのミレニアル世代も同様な傾向があることが明らかになった」と分析している。

 日本を代表する土産品として日本で購入したいものは、「日本の工芸品(47%)」「着物(32%)」「日本酒(29.6%)」「日本の伝統的な食器(27.8%)」「日本の菓子(22.6%)」が上位だった。若い世代には、マンガ、フィギュア、ゲームなどポップカルチャーが人気だったが、日本人形、日本酒、弁当箱、神社のお守りなど昔から日本の生活の一部としてあるものも比較的人気が高い結果が出た。特に神社などのお守りは、18~29 歳(38.5%)、30 代(31.5%)と若い世代で人気だった。

 同研究所では、「フランス人による日本文化の目利きには伝統と新しさを融合した何か新たな価値づくりへのヒントが隠されているかもしれない。伝統を守り伝えることも重要だが、現代の生活スタイルとうまく組み合わせて新しい価値を見出すことも大切。ポップカルチャーだけではなく、日本の伝統文化や芸術に対しても受容度が高いフランス人の20代、30代の若者の感性には注目」と今後の観光戦略へのヒントを話している。(編集担当:城西泰)