9月25日、MotoGP第14戦アラゴンGPの決勝が行われた。舞台となるモーターランド・アラゴンは全長5,078m。2本の長いストレートと、バリエーションに富んだコーナーを持ち、かつ高低差のあるコースはパッシングのポイントが多く、白熱したバトルが期待できる人気のサーキットの一つである。
予選ではポイントリーダーのマルク・マルケス(レプソルホンダ)が2番手のマーベリック・ビニャーレス(チームスズキエクスター)に0.631秒という大きな差をつけてポールポジションを獲得。ポイントランキング2位のバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)は6番グリッドから、ポイントランキング3位のホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)は3番グリッドからのスタートとなった。
気温22℃、路面温度31℃のドライコンディションで迎えた決勝は、スタート直後から白熱。ポールポジションスタートのM・マルケスに3番グリッドスタートのJ・ロレンソが並びかけドッグファイトとなったが、その隙をついてM・ビニャーレスが先頭を奪取。6番グリッドスタートのV・ロッシは好スタートを切って4番手まで浮上した。
スタート直後からデッドヒートとなった今回の決勝、2周目にはM・マルケスがM・ビニャーレスを抜いてトップを奪還するものの、3周目に挙動を乱してコースを外し5番手まで順位を落とした。これによって再びM・ビニャーレスがトップ、2番手にJ・ロレンソ、3番手V・ロッシという展開となった。
3番手のV・ロッシはその後徐々にペースを上げ、6周目にJ・ロレンソを抜いて2番手に浮上。9周目にはトップのM・ビニャーレスを抜き、トップに立った。一方、一時5番手まで落ちていたM・マルケスはその後追い上げを見せ、10周目には2番手まで浮上。12周目、得意の15コーナーでトップのV・ロッシを交わしてトップに躍り出た。M・ビニャーレスはコーナーで膨らむミスにより4番手に順位を落とした。
その後、M・マルケスは快調なペースでレースを引っ張り、レース後半は独走状態となった。
その一方で激化したのがV・ロッシとJ・ロレンソの2番手争いだった。レース後半、3番手のJ・ロレンソがじわじわと2番手V・ロッシとの差を詰め、残り5周、19周目でV・ロッシをパス。だが、V・ロッシも易々とは退かず、J・ロレンソに追い縋り2番手争いはますます白熱した。
この2番手争いが大きく動いたのが残り2周の22周目。12コーナーでV・ロッシがブレーキング勝負に出たものの、これが裏目に出てコースアウト。順位を落とすことなく3番手でコースに復帰はできたが、J・ロレンソに大きなアドバンテージを与える結果となってしまった。
アラゴンGP、優勝はレース後半独走状態となったM・マルケス。2位はJ・ロレンソ、3位はV・ロッシ、4位は序盤トップに立ったM・ビニャーレス、5位はカル・クラッチロー(LCRホンダ)だった。
優勝したM・マルケスは今季4勝目、母国スペインでのレースで25ポイントを加算し、248ポイント。ポイントランキング2位のV・ロッシ(196ポイント)との差を52ポイント、3位J・ロレンソ(182ポイント)との差を66ポイントに広げた。
今季は8名の優勝者を出し、混戦模様のMotoGPだが、M・マルケスがドイツGP以来5戦ぶり4勝目を勝ち取り、チャンピオンシップ争いにおいて一歩リードしている。V・ロッシやJ・ロレンソが待ったをかけることができるのか、次戦の日本GPは今季の大一番になるだろう。
また、今季のMotoGPで見逃せなくなってきたのがスズキ勢の活躍だ。今回のアラゴンGPでも4位のM・ビニャーレスはM・マルケス、J・ロレンソ、V・ロッシの三傑に迫る勢いを見せ、アレイシ・エスパルガロ(チームスズキエクスター)も7位と健闘している。このままホンダ・ヤマハ勢に迫るチームとなるのか、残り4戦での存在感は非常に気になるところだ。
さらに、5位のC・クラッチローもここ数戦は絶好調。9位のアルバロ・バウティスタ(アプリリアレーシング・チームグレシーニ)、10位のステファン・ブラドル(アプリリアレーシング・チームグレシーニ)のアプリリア勢も徐々にその力を示し始めている。終盤に差し掛かっているMotoGPだが、伏兵ライダーや再参戦チームの動向からも目が離せない。
次戦はいよいよ日本GP。3週間後の10月16日、鈴鹿サーキットでの決勝は果たしてどんなレースになるのか、今から楽しみだ。(編集担当:熊谷けい)