8月21日、MotoGP第11戦チェコGPの決勝が開催された。チェコの東部に位置するブルノサーキットが決戦の舞台だ。ブルノ市街地から西に10km離れた山の中にあり、周囲は森林になっている。アップダウンが大きく、最大で73mの高低差がある。全長約5.4km、コーナー数は左6、右8、最長ストレート636m。シケインやハードブレイキングがほとんどない中高速サーキットだ。またコース幅が15mと広く、抜きどころも多い。
決勝当日は気温17℃、路面温度17℃と低く、レース前に降った雨の為ウエットコンディションとなった。ポールポジションはサーキットベストラップを更新したマルク・マルケス(レプソルホンダ)。以下、2番手スタートにホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)、3番手スタートにアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)の順でレースはスタートした。ホールショットはA・イアンノーネが決めたように思えたが、すぐにM・マルケスが抜きかえしてトップに立った。レース序盤はM・マルケス、A・イアンノーネ、アンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)の3台で順位が頻繁に入れ替わる展開となった。2番手スタートのJ・ロレンソは2周目に10番手となり、5周目には16番手まで順位を落とす。そんな中、予選13番手スタートのスコット・レディング(オクトプラマックヤクニック)が徐々に順位を上げ、2周目には4番手まで上がり、3周目にはM・マルケスをパスして3番手に浮上する。
レースが進む中、トップはA・イアンノーネ、2番手にはさらに順位を一つ上げたS・レディングがつけ、3番手のA・ドビツィオーゾと4番手M・マルケスの間が約2秒ほど開く。6番手スタートのヴァレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)は7周目には13番手まで後退する。
順位を上げてきたのはエクトル・バルベラ(アヴィンティアレーシング)だ。8周目にM・マルケスを抜いて4番手に、さらに12周目には3番手まで上がった。また10番手スタートのカル・クラッチロー(LCRホンダ)がじわじわと順位を上げ、12周目にはM・マルケスをパスして4番手まで浮上した。先頭集団を走っていたA・ドビツィオーゾは10周目でフロントタイヤに問題が発生。一時コースアウトし、その後ピットインしてマシンを乗り換えた為、20番手走行となる。
レース後半、残り9周になるとC・クラッチローはH・バルベラとの激しい3番手争いに勝ち、その後A・イアンノーネとトップ争いを繰り広げ、16周目についにトップに立った。また一時順位を大きく落としていたV・ロッシは着実な追い上げを見せ、17周目にM・マルケスを、さらにH・バルベラ、A・イアンノーネをパスして残り5周で2番手にまで順位を上げた。J・ロレンソは残り7周でスリックタイヤを装着したマシンに乗り換えたがうまく噛み合ず、再びマシンの乗り換えを試みた為17位と順位をさらに落としてしまった。
レース終盤になるとトップのC・クラッチローは2番手のV・ロッシとの間に約6秒の差をつけてレース優勝に大手をかける。またA・イアンノーネ、H・バルベラ、M・マルケスの3番手争いも激しくなる。A・イアンノーネがコースアウトになりかかった隙をついて、M・マルケスが3番手に上がる。また終盤にはロリス・バズ(アヴィンティアレーシング)がA・イアンノーネ、H・バルベラをパスして4番手に浮上した。
優勝したのは、C・クラッチロー。最終的に2位V・ロッシとの間に約7秒差をつけて初優勝となった。M・マルケスは終盤の順位をキープして3位フィニッシュ。4位はL・バズ、5位H・バルベラと続いた。終盤までトップ集団を走っていたA・イアンノーネはフロントタイヤの中央部分が削れ、最終的に8位フィニッシュとなった。同じドゥカティのチームメイトA・ドビツィオーゾはマシンの乗り換え後も噛み合ず、リタイヤとなった。J・ロレンソは2度のマシン交換がダメージとなり、周回遅れの17位となってしまった。チャンピオンシップポイント4位のダニ・ペドロサも最後までリズムを掴みきれず12位フィニッシュ。スズキ勢はマーヴェリック・ヴィニャーレスが9位、アレイシ・エスパルガロは残り9周で転倒リタイヤに終わっている。怪我の完治していないジャック・ミラー(エストレージャガリシア0,0マルクVDS)は大事を取って今回も欠場している。
前回のオーストリア戦と同様、今回のレースも初優勝者が出る結果となった。また4位〜8位までがドゥカティ機が続いた。チャンピオンシップポイントでは1位M・マルケスは変わらず、ノーポイントに終わったJ・ロレンソが3位に、V・ロッシが2位と逆転した。
次戦は9月4日、イギリスのシルバーストンサーキットで開催される。(編集担当:水沢潤)