日米が「IoT」の国際標準策定で協力へ サイバー攻撃の脅威にさらされている現状

2016年09月29日 08:21

画・日米か_「IoT」の国際標準策定て_協力へ サイハ_ー攻撃の脅威にさらされている現状

モノのインターネット「IoT」を用いて、様々な物の利便性を高めようとする動きが世界規模で活発化している。その最中、日米の3団体が協力し、国際標準の策定などを行う方向で最終調整に入ったという。

 モノのインターネット「IoT」を用いて、様々な物の利便性を高めようとする動きが世界規模で活発化している。その最中、産学官でIoTの共同研究を進める協議会「IoT推進コンソーシアム」が米国の共同研究組織「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」「オープンフォグ・コンソーシアム」と協力し、IoTに関する国際標準の策定などを行う方向で最終調整に入ったという。

 3団体に参加している有力企業の数は、日米で約2,600社にのぼる。IoTのデータをやり取りする際のデータ様式や通信規格、サーバー攻撃を防ぐための安全基準などについて、国際基準づくりを進めたい考えだ。

 インダストリアル・インターネット・コンソーシアムには、IBMやインテルなど約240社、オープンフォグ・コンソーシアムにはマイクロソフトやデルなど約30社が参加している。IoT推進コンソーシアムはトヨタ自動車<7203>、NTT<9432>、日立製作所<6501>など約2,400社に加え、総務省や経済産業省も参加している協議会だ。

 IoTは20年には500億台を超えると言われている。離れた場所から機器を操作したり状態を把握したりすることができるため、インターネットを介したサイバー攻撃の脅威にさらされるリスクが高まっているのだ。

 世界最大規模を誇る情報セキュリティー研究会「Black Hat」の発表によると、インターネットに接続された監視カメラ製品を調査したところ、カメラが撮影している映像をリアルタイムで見ることができ、停止や映像を差し替えることもできたという。ATMや医療機器、コーヒーメーカーまでハッキングできたという発表もあった。

 横浜国立大学大学院 吉岡克成准教授の研究グループが15年7月までの4ヶ月間、大学の監視システムに送られたサイバー攻撃について調べたところ、15万か所から90万回にも及ぶ攻撃を受けていたことが判明したという。

 IoTの中身はコンピューターであり、多くの機器には無料の基本ソフト「Linux」が入っているというが、遠隔操作の入り口となるTelnetが開いた状態で世に出回っている製品も少なくないという。

 IoTの技術が高まるほどに、乗っ取られた時のリスクも大きなものになるだろう。安心してIoTを導入できるようにするためにも、国際標準の策定が急がれる。(編集担当:久保田雄城)