元法相の指摘に「大変残念」と安倍総理

2016年09月30日 16:31

民進党の小川敏夫参院議員(元法務大臣)は29日の参院本会議で安倍晋三総理が所信表明演説で「国境警備の海上保安官、警察官、自衛官に敬意を表そう」と呼びかけ、演説を止め、10秒以上拍手した事案をとりあげ、「私も同じように職務に精励している自衛官らの方々に敬意を表する気持ちでいるが、あなたが自衛官らだけを特別に取り上げ、尊敬の対象とするのは、あなたの心の中に国民よりも軍隊優先という考えが潜んでいるからでは無いか」と質した。

小川議員は「私は消防官、医療、介護、バスやタクシーの運転手、勤労者、その他社会の様々な分野で働き社会に貢献している方達全員に敬意を表する気持ちであります」と語った。

 安倍総理は「海上保安庁と警察は軍隊ではない。自衛隊は通常の観念で考えられる軍隊と異なるとの政府見解は小川議員も当然ご存知と思います。そのうえで、海上保安庁・警察・自衛隊はひたすら国民を守るため厳しい任務に就いている。所信表明演説では厳しくなる東アジア情勢のなかで、緊張感に耐えながら任務にあたっている方々に言及したものであり、厳しさを増す状況で任務にあたっていることは小川議員にも十分に共有頂けるものと思う」と答えた。

 そのうえで、安倍総理は「国民よりも海上保安庁、警察、自衛隊が優先するという考えは根本的に間違っているだけでなく、彼らの誇りを傷つけるもの。かつて政権を担い、閣僚(法務大臣)を務められていた方の発言だけに、大変残念だ」とし、指摘されるような考えで敬意を表そうと呼びかけたものではないとした。

 また、小川議員が「8月23日に稲田朋美防衛大臣がハイヒールを履いて護衛艦に乗船し、視察したが、厳しい任務の実情をわきまえない不見識な行動で、防衛大臣の適格性を欠いているのでは」と質した。安倍総理は「不見識な行動があったとは全く考えておらず、(適格性を欠いているのではとの)指摘は全く当たらない」と完全否定した。(編集担当:森高龍二)