9月15日、国立社会保障・人口問題研究所が「第15回出生動向基本調査」の結果を発表した。この調査は日本国内の出産・結婚・子育ての現状を把握するために同研究所がほぼ5年ごとに行っており、対象は18歳以上50歳未満の独身男女と既婚女性である。
調査結果の中で、過去最低の数値を出したのが夫婦間の避妊率である。その数値は40.4パーセントであり、第7回(1977)の調査以降40年間で最も低い実施率となった。避妊率が低下しているということは、子どもを持つことへの意欲が高まっている夫婦が増加していると思われるかもしれない。しかしながら、独身男女・既婚女性ともに希望、または予定する子供の数は減少している。特に独身男性の平均希望子ども数は初めて2人を切り、1.91人となった。また、既婚者の平均理想子ども数は2.32人、平均予定子ども数は2.01人と、いずれも過去最低になるほどに低下している。
このように希望、予定する子どもの数は減り続けているにも関わらず、夫婦の避妊率は下がっているという現状の背景として、不妊への不安がひとつの理由としてあげられる。不妊を心配したことがある夫婦は前回調査(2011年)の31.1パーセントから35.0パーセントに上昇し、実際に不妊の治療や検査を受けたことがあるという夫婦は18.2パーセントと増加傾向にある。これは夫婦の平均出会い年齢が上がり(前回夫25.6歳、妻24.3歳から今回夫26.3歳、妻24.8歳)、平均交際期間が4.3年と伸長しているという晩婚化の傾向も一因になっているだろう。
晩婚化が進み、希望・予定する子供の数は減少傾向になる。そして不妊への心配は増えることから夫婦間の避妊率が減少するという推察もできるのではないだろうか。なんにせよ夫婦の避妊率が下がっていることから、子どもは増加傾向が期待できるという単純な図式にはならないようである。
今回の調査では、少子化、晩婚化など現代家族の傾向としてよく挙げられる問題が数値として明らかになる結果となった。そして、その数値の多くは年々問題が進行している状況を表すものになっている。(編集担当:久保田雄城)