IT専門調査会社 IDC Japanは、2016年第2四半期(4月~6月)の国内サーバー市場動向を発表した。
それによると、2016年第2四半期の国内サーバー市場規模は、前年同期にあたる2015年第2四半期から20.0%減の974億円だった。また、出荷台数は同10.0%減の11万2,000台だった。
今期も、前期(2016年第1四半期:1月~3月)に続き前年同期に比べてすべての製品分野で出荷額と出荷台数が減少したという。出荷額の減少は、前年同期にあった大型案件の反動と、x86サーバーの低迷によるもの。前年同期は、銀行向けのメインフレームやHPC(High Performance Computing)専用機による大型案件があり、今期はこれらの案件を補う案件がなかった。
x86サーバーは、出荷額が前年同期比11.4%減の687億円、出荷台数が同10.0%減の11万1,000台。出荷額が前年同期比で10%超減少したのは2009年第3四半期(7月~9月)以来27四半期振りだという。出荷台数の減少に加え、平均単価の下落が出荷額減少の要因です。平均単価は、この10年来では初めて、前期に比べ10%超下落した。従来、x86サーバーでは、仮想化によるサーバー集約の影響で出荷台数が減少する一方、メモリなどのオプションの追加によって平均単価が上昇するため、出荷台数に比べて出荷額の前年同期比成長率が高くなる傾向があったとしている。
今期、x86サーバーの平均単価が下落した主な原因は、ODM Directをはじめとした個別設計サーバーの出荷台数比率が上昇したことにある。個別設計サーバーは、他のサーバーに比べて平均単価が低くなっている。そのため、個別設計サーバーの出荷台数比率の上昇は、市場全体の平均単価を押し下げる要因となる。今期の個別設計サーバーの出荷台数は、前年同期に比べ5.8%増加した。ODM Directを採用するクラウドサービスプロバイダーが増えたためとみている。一方で、個別設計サーバーを除いたx86サーバーの出荷台数は、前年同期に比べ12.6%減少した。そのため、個別設計サーバーの出荷台数がx86サーバー市場に占める割合は上昇し、過去最大の16.6%になった。
ベンダー別出荷額では、前期に続き富士通が首位でした(参考資料)。前年同期にあったHPC専用機の大型案件を補うほどの出荷がなくマイナス成長だった。2位はNECだった。前年同期にあったメインフレームの大型案件を補うほどの出荷がなく大幅なマイナス成長だったという。3位は日本ヒューレット・パッカード(HPE)。x86サーバーの出荷額の減少を補うほどの他の製品分野の出荷がなく2桁のマイナス成長だった。4位はIBM。出荷台数は増加したものの、前年同期にあったメインフレームの大型案件を補うほどの出荷がなく2桁のマイナス成長だった。5位は日立製作所だった。すべての製品分野で出荷額が減少し2桁のマイナス成長だった。6位はデル。出荷台数は増加したものの、平均単価の下落により2桁のマイナス成長だった。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ マーケットアナリストの加藤慎也氏は「個別設計サーバーを除いた出荷台数は、前年同期比では9四半期連続で減少している。出荷台数が減少する中で売上を維持するには、サーバー1台あたりの売上を増やす必要がある。そのため、ベンダーには高付加価値製品の開発に加えて、より積極的なオプションの追加など、平均単価の上昇につながる取り組みが求められる」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)