15年度のITアウトソーシングサービス市場規模は前年度比0.2%増の3兆8,434億円

2016年08月15日 08:42

 矢野経済研究所では、国内の IT アウトソーシングサービス市場の調査を実施した。調査期間は2016年5月~7月、調査対象はコンピューターメーカー、システムインテグレーター(SIer)、データセンター専業者等の IT アウトソーシングサービス提供事業者。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2015年度のITアウトソーシングサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比100.2%の3兆8,434億円であった。ITアウトソーシングサービス全体として見た場合は微増の推移であるが、内訳を見ると、オンサイト運用・保守サービスからデータセンター関連サービスへの切り替えやシフトが進んでいる状況であるとしている。

 また、クラウドサービスの普及やサービスの多様化、データセンター利用の増加などを背景にして、IT アウトソーシング市場の2014年度から2019年度までの年平均成長率は 0.8%で推移し、2019年度の同市場規模(同ベース)は3兆 9,985 億円になると予測している。

 クラウドサービスでは、パブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)の利用が順調に伸びているが、同時にサービスの多様化も進んでおり、複数のクラウドを使い分けるハイブリッドクラウドやプライベートクラウド(特定企業が所有し、その企業やグループ企業だけが利用するクラウド基盤)を含めて、最適なサービスを顧客が自由に選択するようになってきている。そのようなクラウドサービスの使い分けやハイブリッド化などが進んだことで、最適なシステム構築や運用サービスを求めるユーザー企業も増加しているという。

 また、システム環境の変化や多様な新技術の出現もあり、ユーザー企業が利用するクラウドサービスのマルチベンダー化が進んでいる。これに伴い、クラウド環境の統合管理のニーズも高まっていくが、今後は 1 社のサービスベンダーにすべてを任せるよりも、複数のクラウド環境を統合マネジメントしていく方向に進むと予測している。

 一方で、クラウドサービスの利用増加とともに中堅・中小規模のユーザー企業では SIer を介さずに、自社でパブリッククラウドを使いこなす動きも出始めているという。

 データセンター関連サービスの利用が進んでいるのは、ユーザー企業が抱えるデータ量が年々増加しているため、増加したサーバーをデータセンターに預ける企業が引き続き増加していることが背景にある。さらに、クラウドの普及が進み、クラウドサービス提供事業者のデータセンター利用が進んでいることも要因となっているという。

 こうしたことから、2015年度のデータセンター関連サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年度比103.9%の2兆929億円となった。今後、2014年度から 2019年度までの年平均成長率は3.6%で推移し、2019年度の同市場規模は2兆4,035億円になると予測している。(編集担当:慶尾六郎)