今年は台風の当たり年。住宅関連企業の防災対策は大丈夫?

2016年10月22日 19:48

 近頃、異常気象による自然災害の被害が後を絶たない。地震だけでなく、記録的な大雨や台風、それに伴う土砂災害や家屋などの倒壊等々のニュースが数多く見受けられる。とくに今年は台風の当たり年。気象庁が公表しているデータによると、今年2016年の台風上陸件数は9月の時点ですでに6回。この数字は、年間最多上陸数を記録した2004年の10回に次いで、観測史上2番目となる。10月、11月の気象状況次第では記録を塗り替える可能性もあるだろう。

 自然災害が起こった際にもっとも優先すべきは命だ。突発的な災害から命を守るためには、日ごろからの防災意識と対策が重要になってくる。とくに、災害時に家族の命を守り、被災後のよりどころとなる住宅や建築物は最も注意すべきものだ。日本では度重なる震災などで防災意識が高まり、耐震性能の高い住宅なども普及してきたが、それだけでは充分とはいえないのではないだろうか。

 例えば、完成した住宅はともかく、建築中の物件に対する工事現場の安全確保も、建築業者や住宅メーカーの重要な責務だ。地震、台風、大雨、洪水、噴火、大雪、その他の異常な自然現象による災害はいつ起こるかわからない。建築中のものは当然、完成品のような強度はなく、建築物の全体又は一部の倒壊又は崩壊及び仮設物の損傷等の被害リスクは高くなる。

 資材の固定や足場等の仮設物の点検・補強など、工事現場の安全確保・被害拡大の防止はもちろんのこと、周辺住民や通行人の安全確保、二次災害の防止なども対策が必要だ。平時から、対策をマニュアル化したり、被害軽減のため迅速に対応する訓練を行うなど、備えておく必要があるだろう。

 もちろん、被害を最小限にするためには、建築業者だけに任せるのではなく、一人一人の防災意識と実践が大切だ。

 大和ハウス工業株式会社が今年、住宅購入検討者を対象に実施した、防災意識や心的ストレスについての実態調査によると、多くの回答者が「防災対策に関する知識はあるが、実行できていない」と回答しているほか、防災対策の実践は地域によって格差があることが分かった。例えば、台風被害の多い沖縄県では台風災害に対する対策意識は高いが、台風が直撃することがほとんどないような地域では、台風災害に対する知識も乏しいようだ。しかし、そういう地域こそ、もしもの時を考えておかなければ、最悪の場合は命にかかわる被害にもなりかねない。

 住宅メーカーでは、工務店ネットワークを主宰するなど独創的な経営で知られるアキュラホームが「家守り活動」を行っている。「家守り活動」とは、定期点検に加え、積極的にご入居者訪問を行い、住みごこちや経年による住宅の不具合などについてお話を伺いながら、より快適に暮らしていただくために適切なアドバイスを行う活動で、普段からこの活動を社長以下総員で取り組んで、顧客との連絡も密にしていることから、台風や地震等の災害時にもすぐに対応できるような体制になっているようだ。被災時に住宅のプロがサポートについてくれることは、何より心強いだろう。

 災害発生時に被害を最小限に食い止めるためにも、住宅購入時には様々な面で防災対策がしっかりしている業者を選択したいものだ。(編集担当:藤原伊織)