売上高の上昇は鈍化でも、フィットネスクラブとヘルスケア市場に集まる投資家の期待

2016年10月22日 18:39

近年の健康志向の高まりに伴って、フィットネスクラブ業界が好調のようだ。経済産業省が実施した特定サービス産業動態統計調査によると、2006年以降は売上高の上昇は鈍化しているものの、売上高・会員数ともに堅調に推移しており、2015年度は業界全体で3000億円、会員数もおよそ300万人となっている。

 コナミスポーツクラブを全国展開する業界最大手のコナミホールディングスをはじめ、スイミングを中心にスクールで他社との差別化を図るセントラルスポーツ、格闘技やヨガなどとフィットネスを融合した独自のレッスンを展開するルネサンス、さらには「結果にコミットする」のキャッチフレーズで一世を風靡した「ライザップ」でお馴染みの健康コーポレーションなど、一口にフィットネスクラブといっても、実に多彩だ。ただし、成功しているフィットネスクラブには共通点がある。例えば「女性」や「高齢者」、「ダイエット」「理想の体型」「スクール」など、利用者の目的に合わせてターゲットを確実に絞り込んでいるのだ。その証拠にターゲットが明確な企業の利益率が突出して高い状況になっている。

 また、近年ではスマホやウェアラブル端末のアプリを介して運動量を計測することも容易になったため、ヘルスケアへの関心に拍車がかかってると思われる。フィットネスクラブに通うだけでなく、メタボ対策や健康増進を目的としたランニングも大ブームで、全国各地で経済波及効果を狙ったマラソンイベントの開催も増えている。シューズやランニングウェアなど、関連市場も好調だ。

 さらに、運動をサポートしたり、運動効果を増強したりする機能性食品の市場も活況だ。

 例えば、サントリーウエルネスが販売しているサプリメント「サントリー セサミンEX」は抗酸化力向上をうたった機能性表示食品だが、抗酸化力は活性酸素を抑制し疲労を軽減する作用がある他、パフォーマンスの向上にも役立つとされている。

 また、サプリメント業界大手DHCの機能性食品第一号として話題になった「エクササイズダイエット」は、脂肪減少とBMI改善を目的としたもので、脂肪に対して「分解促進」「合成抑制」の2つの効果を併せ持つことが報告されている甘草由来のグラブリジンを機能性関与成分として配合している。甘草の根茎から抽出されたグラブリジンはポリフェノールを多く含む成分としても知られている。

 さらに、ミツバチ産品の販売で知られる山田養蜂場は、倉敷芸術科学大学 生命科学部の川上雅之教授との共同研究によりブラジル産プロポリスを飲用することで、運動中に感じる身体の「きつさ」や「つらさ」が軽減されることを明らかにしている。運動負荷が軽減されるので、運動量や運動時間を増やしやすくなり、運動パフォーマンスの向上や、日々の健康維持にも役立つという。
 
 フィットネスクラブに通っている人だけでなく、普段からこういった機能性食品やサプリメントなども上手に利用して、健康と若々しさ保ちたいものだ。(編集担当:藤原伊織)