政府は液体ミルクを解禁する方向で検討を開始した。液体ミルクは粉ミルクと違って調理が不要で、幼児に与える際に手間がかからない。そのため、育児の負担軽減や震災などの非常時にも平常時と同じ状態で与えることができるなど、活用に期待が寄せられている。
政府は乳児用の液体ミルクを解禁する方向で検討を開始した。現在、液体ミルクは国内では食品衛生法により製造ができない状態である。これは同法が規定された1951年当時、粉状のミルクこそ長期保存が可能で安全と考えられていたため。それから50年以上が経ち、技術の向上から液体ミルクは諸外国では広く普及している。日本国内ではその便利さから解禁に向けて署名活動も行われていた。そしてこのたび、2017年度以降、安全試験を実施してデータをそろえ、関連規定の改正をする方針が定まったのである。
液体ミルクは無菌状態で密閉された紙パックやプラスチックの容器で販売されている。未開封ならば常温で半年から1年ほど常温保存が可能。使うたびに作らなければならない粉ミルクと違って、封を開けるだけで幼児に飲ませることができる簡易さが注目を集めているようだ。粉ミルクは分量を量って清潔な哺乳瓶にいれ、お湯を注いでさらに人肌になるまで冷まさなければならない。このような手間は外出時や夜泣きの際には大きな負担となる。それが解消されるだけでも子育ての手間は随分減る事になるだろう。また、子育ての手間が減ることは男性や祖父母などの育児参加の推進にもつながる。
さらに液体ミルクが活躍する場として期待されているのは震災などの非常時である。非常時には清潔な水や哺乳瓶、お湯を沸かす設備などを整えることが難しい場合もある。成人ならば食料に多様性があるが、乳幼児はミルクしか飲むことができないため深刻な問題だ。その際、封を開けるだけ、しかも長期保存が可能な液体ミルクが重宝されるのである。実際、東日本大震災の時にはフィンランド在住の日本人女性から被災地に液体ミルクが送られ、非常に喜ばれたそうである。
このように、液体ミルクは人間生活のうちでも重要な要素である食を革新させる製品として活用に期待が寄せられている。今後、液体ミルクは日本の育児の流れを変えたと言ってもいいほどの多大な影響をもたらすだろう。(編集担当:久保田雄城)