【今週の振り返り】中国リスクは前場で消化し328円上昇した週

2016年10月22日 20:16

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中国人民銀行演出「午前10時のマチネー」。中国リスクにまた振り回され、情けないと、ため息をつく間に、20日まで5連騰。相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育つ。

 日経平均始値は10円安の16952円。高値は2時48分の17016円。安値は9時8分の16938円。終値は35円高の16998円。欧米市場がリスクオンしても日経平均は小幅安で始まり、TOPIXもマイナスでスタート。序盤から10時台にかけてプラスとマイナスを行ったり来たりで、中国リスク警戒ムードありあり。東京市場が今週やたらに神経質になっている中国人民銀行の人民元レート基準値は、前日よりも小幅ながら人民元安の設定。その前にマイナスに落ちていた日経平均は底値をつけるが、すぐに反転する。

 16940~16990円のレンジで動いていた日経平均は、11時の中国の経済指標発表ラッシュによって上放れし17000円にタッチした。7~9月期のGDPは+6.7%で、市場予測と一致し3四半期連続で同じ数字。9月の鉱工業生産高は+6.1%で市場予測の+6.4%より悪いが、9月の小売売上高は10.7%で市場予測と一致。1~9月の固定資産投資は+8.2%で市場予測と一致。1~9月の不動産開発投資は+5.8%。「中国政府に好都合な数字をつくってないか?」という影の声も出そうだが、マーケットは一応、好感し上海総合指数も上昇した。しかし日経平均が前引けまで17000円を保てなかったのは「中国の経済統計の信ぴょう性への留保分差し引き」か?

 後場はほぼ前引け水準で再開し、上昇して17000円チャレンジ。わずかに及ばず1時台は逆に16960円台まで下がりマイナスに落ちそうになる。TOPIXはマイナス。それでも日経平均はプラス圏に踏みとどまる。「三菱自動車<7211>の会長にカルロス・ゴーン氏就任へ」というニュース。ルノー、日産<7201>と合わせ3社のトップになる。三菱自動車は上昇。通期の営業黒字化が報じられたシャープ<6753>も上昇。明けない夜はない。2時台は16980円台まで戻って終盤に再び17000円チャレンジ。今度は突破し9月SQ値17011円も上回るが、大台のままで大引けにはならない。大台ラインでは戻り待ちの売りが入りやすく、薄商いでも安定的に乗せるには好材料の推進力が必要になる。

 日経平均終値は35.30円高の16998.91円、TOPIX終値は+0.63の1357.20。売買高は15億株、売買代金は1兆6631億円。値上がり銘柄数は1197、値下がり銘柄数は624。プラスは21業種で、その上位は水産・農林、小売、不動産、証券、その他金融、建設など。マイナスは12業種で、その下位は鉱業、保険、海運、輸送用機器、非鉄金属、医薬品など。上海総合指数は0.02%高だった。

 20日の日経平均は大幅高で5営業日続伸。ヨーロッパ市場は続伸。住宅着工件数は9%減で市場予測を下回ったが、その先行指標の住宅建設許可件数は前月比+6.3%と堅調。地区連銀経済報告(ベージュブック)はほとんどの地域で景気はゆるやかに拡大と述べていた。インテル、ヤフーに続きモルガン・スタンレーも57%増益の好決算。しかしそれらよりもNY市場に効いたのが原油先物価格で、1年3ヵ月ぶりの51ドル台に上昇。OPECの事務局長が産油国の減産に楽観的な発言をし、週間在庫統計も予想外に減少した。NYダウは40ドル高でNASDAQもS&P500も小幅高。朝方の為替レートはドル円が103円台半ば、ユーロ円が113円台半ば。CME先物清算値は16985円。大阪夜間取引終値は16980円。

 日経平均始値は0.45円高の16999円。高値は終値で「高値引け」。安値は9時1分の16992円。終値は236円高の17235円。前日4時に政府観光庁から9月の訪日外国人客数が発表された。前年同月比19.0%増の191万8000人で9月としては過去最高を記録した。しかし7~9月の訪日外国人旅行消費額は9717億円で、前年同期比で2.9%の減少。四半期でのマイナスは2011年10~12月以来4年9ヵ月ぶりで、「爆買い」は名実ともに終焉した。爆買い目当ての過剰投資や過剰雇用の反動が恐ろしい。

 TOPIXはわずかなマイナス、日経平均はわずかなプラスで始まり、15秒後に17000円タッチ。数分後に9月SQ値の17011円にもタッチする。大統領選挙の第3回テレビ討論の開始直前に様子見することなく、NY連銀のダドリー総裁の年内利上げ容認発言でドル円が103円台後半までドル高円安が進行すると、9時台は日経平均もTOPIXも高値を更新して17100円を突破し17150円も一時超えた。10時にトランプ氏も姿を現してテレビ討論が始まると、息を殺したようにドル円は103円台後半、日経平均は17150円近辺で動きが止まる。トランプ氏は起死回生を賭けて「最終兵器」を先制使用するのか? ディベート中の11時を回ると不動産セクター、新型ゲーム機発表予告のニュースがあった任天堂<7974>、ガンホー<3765>などゲーム関連銘柄を中心にさらに高値追いし17200円に接近。あと5円まで迫るものの抜くまではいかず、少し下落して17174円で前引け。