日本のロボット産業の育ての親は自動車業界

2013年02月11日 15:41

  日本は産業ロボット大国と言われている。世界で最も多くの産業ロボットを製作し、出荷し、さらには国内稼働台数においても世界一を誇っているからだ。

  ロボットといえば、最近では介護用ロボットなどをはじめとする、サービス系のロボットも注目されてはいるが、これまで日本の経済を支えてきたのは産業ロボットだ。規模の面からいっても、サービス系のロボットは、まだまだ産業ロボットの足元にも及ばない。

  日本は、今でこそ中国にシェアを奪われつつあるものの、世界有数の自動車大国であることに変わりない。そして、その基礎を支えてきたのが「ロボット」なのだ。コストをいかに抑えて、しかも短納期で大量生産を行う為にはロボットによる自動化は必須で、溶接や塗装など様々な用途でロボットは発展を遂げてきた。

  1977年、当時はまだ職人の技術だった溶接作業のロボット化に成功した安川電機 が、日本で初めてのオール電気式の産業用ロボット「MOTOMAN-L10」を発売した。自動車メーカーに納入された「MOTOMAN-L10」は、その後の産業ロボット業界の礎となる。「MOTOMAN-L10」が登場した1977年は、わが国の経済にとっては、決して安定した年ではなかった。期待された政策効果もあらわれなかったうえに、秋以降に吹き荒れた円高旋風によって経済環境は一変、景気後退局面を迎えていた。

  その一方で、自動車業界では、トヨタ<7203>が「マーク2」「セリカ」、日産<7201>は「ローレル」「スカイライン」などのフルモデルチェンジを行なったうえ、トヨタは「チェイサー」、日産は「オースター」「スタンザ」などのニューモデル車を続々と発表している。それに伴って、24時間体制で大量生産に貢献する産業ロボットのニーズが急速に高まり、日本の自動車産業にとって、ロボットは欠かせないものになっていく。自動車メーカーにとって産業用ロボットは欠かせなかったと同時に、産業用ロボット業界にとっても、自動車業界は「育ての親」ともいえるパートナー的存在となった。高品質な自動車を、より早く、よりコストを抑えて製作する為には、ロボットもより高度になる必要があり、ニーズに合わせて二人三脚で歩んできたのだ。

  現在、産業用ロボットは、6軸自由度の垂直多関節ロボットが主流で、人間の腕のような動きが出来るようになっている。溶接や組み立てなどの作業はもとより、手首のアタッチメントを交換することで、さまざまな用途に柔軟に対応することができる。位置決め精度も、おおむね0.1mmを実現しており、同じ作業を精度良く繰り返すことができるのだ。最近では、産業用ロボットは半導体・液晶などのIT業界をはじめ、食品や医薬品の業界にまで、幅広く導入されているが、やはり今でもメインとなっているのは自動車業界である。

  2011年度には産業用ロボットの累積出荷台数25万台を達成し、産業用ロボット業界では依然として世界シェア一位を誇る安川電機のロボット事業部の11年の売上高1010億円のうち、7割以上が自動車メーカー向けとなっている。ただし、1990年以降は、日本の自動車メーカー向けよりも、海外の自動車メーカーへの出荷が激増しており、とくに中国をはじめとするアジア諸国の需要が高まっている。日本の自動車メーカーに育てられたロボット産業は、今度はアジア諸国の自動車メーカーの育ての親となっているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)