2018年4月施行予定の精神障がい者の雇用義務化を前に、精神障がい者の就職件数が急上昇している。15年度には精神障がい者の就職件数は前年度比11.2%増の38,396件となった。一方、精神障がい者の約半数が1年以内に離職している現状があり、ほかの障がいに比べて職場定着率の低迷が課題となっている。また、身体障がい者の新規求職申込件数に関しては15年度では3年連続減少となる前年度比2.9%減と、減少傾向にあることから、法定雇用率の維持のためには精神障がい者の職場定着率を上げることが企業にとってもカギとなる。
こうした中、障がい者専門の就職・転職支援を行うゼネラルパートナーズは、企業の障がい者採用担当者(113名)を対象に「精神障がい者の入社後の相談体制に関するアンケート調査」を実施した。調査結果からは、「相談しやすい雰囲気がある」と回答している企業ほど人事や上司との面談を定期的に実施していることや、支援機関の職員による職場訪問を活用していることが明らかになった。また、「人事や上司による面談」の実施状況と「支援機関の職員による職場訪問」の活用状況についての多重比較を実施したところ、面談を定期的に実施している企業の方が、期間は定めず都度実施している企業や、実施していない企業よりも、支援機関の職員による職場訪問を積極的に活用している傾向があることが明らかになった。
手帳を保持している精神障がい者は15年6月1日時点で約49.7万人おり、うち就業者数は約4.6万人。精神障がい者は特性として、うつ病・統合失調症・不安障がい・認知症などの精神疾患を伴うため日常生活に制約がある。このため職場などでの悩みを主体的に相談することに対して難しさを抱えている。上記調査では、課題の有無に限らず定期的な面談の場を設定することが精神障がい者の方の相談しやすい職場環境作りに有効だということが示された。また、社内の定期的な相談を補完するために支援機関の職員による職場訪問を活用することで、より定着しやすい職場環境が作れると考えられる。(編集担当:久保田雄城)