2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に心のバリアフリーやユニバーサルデザイン化を推し進めるべく政府が設置した、ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議での中間とりまとめ(素案)が発表された。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に心のバリアフリーやユニバーサルデザイン化を推し進めるべく政府が設置した「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議」での中間とりまとめ(素案)が発表された。
内容では、学校教育や大学での心のバリアフリー理解のための教育、啓発を促し、当事者を交えた活動の実施を推進することや、特別支援教育の発達段階に応じたカリキュラム編成、教員に対する指導方法の充実など実践的な施策が検討されている。企業に対しても汎用性のある研修プログラムを策定し、広げていく方針だ。交通分野や観光、外食等サービス産業においては「東京大会スタッフ向けのサポートガイド基礎編」をベースにした接遇マニュアルを充実させて接遇の向上を図る。その他、多機能トイレでのマナー向上や障がい者雇用の促進、障がい者と健常者がともに参加できるスポーツ大会開催の奨励など、障がい者・高齢者が参加しやすい環境整備を具体的に推進していくにあたってのたたき台となっている。
本会議での主軸となる心のバリアフリーについては、障がい者権利条約や障害者基本法で定められている障がい者の人権が守られることを前提として、4月1日から施行された障がい者差別解消法の内容である、不当な差別的取扱いを解消し合理的配慮を徹底する心構えを根付かせることが含まれる。高齢者や障がい者の状態像は一人ひとりで異なっているため、平等な機会を提供するためには当然接遇方法でもそれぞれに合わせた配慮が必要となる。また、学校や企業、個人、店舗などサービス提供者の状況も千差万別なため、それぞれでの立場での最適な配慮を検討することがポイントとなる。
ユニバーサルデザイン化や心のバリアフリーが、教育現場や企業、サービス産業に実行力を持って浸透することで、現状よりも余裕を持った設備や対応方法がデザインされていることが必然となる。そのことで伴うコストはあるが、共生のための環境整備によって高齢者・障がい者のみならず、同時に国民一人ひとりが参加しやすい社会が実現していることが予想される。(編集担当:久保田雄城)