IT専門調査会社 IDC Japanは、国内企業における先端IT技術活用事例の調査結果を発表した。
この調査では、2016年3月に実施したアンケート調査結果のほか、ユーザー企業への取材によるケーススタディを踏まえて先端IT技術活用におけるユーザー企業の動向と課題の分析を行った。
IDCが実施した国内エンドユーザー企業向け調査によると、従業員1,000人以上の製造業企業においては、自社にIoT(Internet of Things)を導入済みであると回答した割合は21.4%、2016年度以降導入予定であると回答した企業の割合が32.9%で、製造業の大企業ではIoTの活用が加速していくことが示唆されるという。また、中堅中小企業での活用の広がりも見られる。
同ユーザー調査では、認知システムについては金融業で特に活用が広がっていることが明らかになっており、産業分野別に先端IT技術の活用状況が異なることが分かる。一方、小売業においてはカスタマーエクスペリエンス、公共/教育/医療分野においては国の競争力向上というように、テクノロジーの活用よりも、目的に沿った技術活用のあり方に検討の主眼が置かれているため、特定の技術に対して支出が増加しているなどの傾向はなかったという。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITサプライヤーは、ユーザー企業のデジタル変革を支えつつ、モビリティ、クラウド分野からIoT、認知システム、ビッグデータ活用へ、デジタル技術全体を経営戦略に統合していく道筋を共同で考えるべきである」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)