電通 「共働き世帯の父親」研究チーム発足

2016年11月05日 19:31

 電通<4324>は研究チーム「パパラボ」を立ち上げた。「パパラボ」は共働き家庭で子育てをする父親を対象とした研究、そしてその家族をターゲットにした企業向けソリューションの開発をすることが目的である。

 同社はすでに「ママラボ」を2008年に設立している。これは母親視点から企業のマーケティングを支援するチームであり、ターゲット研究や商品開発、広告・販促コミュニケーションなどで実績を上げてきた。14年には中国、15年にはインドにも同チームを設立。幅広い場で母親視点からの家族市場を開拓してきた事が「パパラボ」の設立にも繋がったようである。

 「パパラボ」設立の背景には、共働きの家庭の増加により家事、育児に父親が積極的に参加する機会も増えていることがあげられる。厚生労働省の発表によると、男性の育児休業取得率は15年度には2.26パーセントとなった。これは1996年度の調査開始以来最高の数値であり、男性が育児や家事に参加することが社会的にも認められてきていることが数値として表れているといえるだろう。このような中、子育て家庭において「ママ」だけではなく「パパ」も重要なターゲットとして無視できない存在になってきたことが同チームの設立の一因になった。

 しかしながら、男性の育休取得率そのものの数値を見ると決して大きなものではない。政府が目標として掲げている「男性の育休取得率を平成20年度までに13パーセントに引き上げる」にも遠く及んでいない。その反面、「イクメン」という育児参加に積極的な男性を指す言葉は広く浸透している。「育児や家事に積極的である男性は魅力的」というような認識は広まっているものの、理解が進まず数値としては追いついていないような状態である。そのような中、「パパラボ」のように育児や家事に参加する父親をターゲットとした事業が展開するのは社会的にも非常に有意義なことだろう。父親にとって子育てしやすい環境が整い、男性向けの子育て商品が増えるだけでも育児参加へのハードルが下がる。今後はより子育てをする男性への社会的理解が深まり、実際に活躍する「イクメン」が増加することが期待される。(編集担当:久保田雄城)