アメリカの主要企業の決算発表は、数は少なくなるが重要な銘柄も交じっている。7日にシスコシステムズ、マリオット、ウェストロック、コグニザント・テクノロジー、プライスラインG、8日にトリップアドバイザー、D.R.ホートン、ジョンソン・コントロールズ、9日にコティ、マイラン、バイアコム、10日にメーシーズ、コールズ、ラルフローレン、エヌビディア、ウォルト・ディズニーが発表する予定。
前週末4日の終値は16905.36円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、主な移動平均線は25日線と5日線が上、75日線、200日線が下にある。25日線は17020円で115円上で、5日線は17270円で365円上。一方、75日線は16774円で131円下、「雲」の中に隠れた200日線は16587円で318円下にある。ついこの間まではるかな宇宙空間に浮かんでいたのがウソのよう。
日足一目均衡表の「雲」は、4日は16538~16637円の位置にあった。その幅は99円と薄く、上限は終値より266円下。今週は7~9日は引き続き16538~16637円だが、上限だけが10日は16642円、11日は16674円と上がってくる。来週以降は薄いまま「雲」の位置が上がり続け、12月に入るとその上限が17000円を突破する。その頃、大統領選挙の結果でトランプ・リスクが完全消滅し日経平均は上昇をみせているのだろうか? それとも出口が見えないリスクの泥沼に沈んでいるだろうか? その行方は9日にわかる。
ボリンジャーバンドでは、4日終値は163円下の16742円に位置する25日線-1σと、393円上の17298円に位置する+1σの間のニュートラル・ゾーンにある。上にも下にも動きやすいポジションで、アメリカ大統領選挙の結果で天国と地獄に分かれそうだ。
オシレーター系指標は驚くなかれ、前々週の261円高をトランプ・リスクの541円安でほぼ「倍返し」されるという仕打ちを受けても「売られすぎ」のシグナルがなく、逆に「買われすぎ」のシグナルが1個点灯している。それは25日騰落レシオの120.6だ。もっとも買われすぎの基準は120なので、それをわずかに上回るだけではあるが……。それ以外では、7勝5敗で58.3%のサイコロジカルラインと+16.1のRCI(順位相関指数)はやや高めだが、-0.7%の25日移動平均乖離率、51.8のRSI(相対力指数)、61.5のボリュームレシオはほぼニュートラル。ストキャスティクス(9日・Fast/%D )は2日の71.0から急落し39.3だった。2日と4日の2日間で537円も急落すると、オシレーター系指標もすぐにはフォローできないらしい。
週間騰落が261円上昇した10月28日時点の需給データは、信用買い残は21日時点から301億円減の2兆1181億円で2週連続の減少。信用倍率(貸借倍率)は2.76倍から2.52倍へ2週連続の減少。信用評価損益率は-10.85から-10.47へ2週連続の改善。裁定買い残は3376億円増の11468億円で2週連続の増加で、「逆ざや」解消後に裁定売り残との差が大きく開き、ますます正常化した。どの指標もトランプ・リスクの後退で良くなっていたが、それを一気に暗転させたのがFBIである。もしトランプ氏が当選したらFBIには「キングメーカー」の〃称号〃が与えられることだろう。
10月24~28日の投資主体別株式売買動向を見ると、外国人は49億円の4週連続の買い越し、個人は2773億円の4週連続の売り越し、信託銀行は575億円の2週ぶりの売り越しだった。買われた週だったので、外国人が買って個人が売るというパターンが継続していた。
前週のカラ売り比率は10月31日が38.2%、11月1日が40.3%、2日が39.0%、4日が39.8%。40%を超えたのは11月1日だけ。2日と4日はトランプ・リスクで一気にリスクオフしたが、それほど異常な数値にはならなかった。しかし日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の4日終値は25.54で、10月28日の終値18.16から7.38ポイントも上昇した。2日、4日の2日間だけで5.96ポイントも上がっており、こちらはFBIが演出したトランプ・リスクの破壊力を見せつけられた。
前週の特徴はそれまでの極端な薄商いが治ったことで、売買代金は4日間とも2兆円を超え、売買高が20億株を割ったのは11月1日だけだった。アメリカ大統領選挙の直前の情勢が急変して風雲急を告げたこともあるが、10月25日のJR九州<9142>の新規上場がマーケットに良い刺激になり、投資家を呼び戻した、とも言えそうだ。
さて、大統領選挙のために影が薄くなったが、4日に発表されたアメリカの10月の雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数の伸びは16.1万人で市場予測の17.5万人をやや下回ったが、完全失業率は4.9%で前月比で0.1ポイント改善し市場予測と同じ。平均時給も25.92ドルで2.8%の増加。非農業部門雇用者数も8月分、9月分は上方修正されており、全体的にみれば悪くない結果で、12月の利上げにも民主党政権の継続にもフォローの風が吹いている。