原発稼働期間「原則40年」ルールの形骸化が進んでいる。「40年で廃炉」が、むしろ「例外」になりそうな流れだ。原子力規制委員会は16日、福井県にある関西電力美浜原発3号機の運転期間を60年まで延長することに認可した。老朽原発の運転延長は関西電力高浜1、2号機に続き2例目3件目となる。
関西電力は「美浜発電所3号機については平成27年5月16日から特別点検を実施し、特別点検の結果を踏まえた高経年化技術評価(劣化状況評価)を実施するとともに長期保守管理方針(保守管理に関する方針)を策定し、平成27年11月26日、運転期間延長認可申請書を原子力規制委員会に提出した」と経緯をHPで紹介。
「工事計画認可の審査を踏まえた耐震安全性評価の反映や運転期間延長認可の審査でのご指摘等を踏まえた記載内容の適正化等の補正申請を行い、本日(11月16日)、原子力規制委員会より美浜発電所3号機の運転期間延長の認可をいただきました」と発表した。
また「運転期間延長認可申請にあわせて申請してきた高経年化対策に係る原子炉施設保安規定の変更についても認可をいただいた」としたうえで「安全性の確認された原子力プラントは速やかに再稼動したいと考えている」とし「早急に詳細な安全対策工事の内容、スケジュールを検討していく」としている。
一方、美浜原発3号機は「原発運転40年ルール」を最も厳格に適用しなければならなかった原発ではなかったのか、と社会民主党の又市征治幹事長は懸念と疑問を提起する。
3号機は「2004年8月9日、二次冷却系の復水系配管が通常運転中に破裂し、吹き出した高温の水蒸気によって11名の作業員が死傷した事故が発生している」としたうえで認可決定についても「1976年12月1日に営業運転を始めた美浜3号機の期限である今年11月末に間に合わせようという『スケジュールありき』の認可決定」として「断固抗議する」と談話でアピールした。
また、又市幹事長は、40年ルールと別の視点からも「敦賀半島に立地する美浜原発は大きな地震を引き起こす活断層に囲まれ、3号機の直下にも4本の破砕帯が存在している『断層の巣』にある」と指摘。
「住民の避難についても、美浜町は原発が存在する東西にしか避難できないなど、机上の空論で、住民の安全は守れない。若狭湾に立地する原発の同時多発事故や原子力複合災害への対応も困難。琵琶湖に最も近い原発である美浜原発の事故の影響は福井県・京都府・滋賀県のみならず、関西一円に広がり、岐阜県・愛知県など東海地方にも及ぶ。住民や周辺自治体の不安に応えない期間延長は極めて問題である」と60年運転を認めることに大きな問題を投げている。(編集担当:森高龍二)