民進党の井坂信彦衆院議員が政府の年金制度改革法案について政策解説を17日、党HPで行った。
注目されるのは、政府が示した試算の信憑性だが、これについて「政府の法案で、将来世代の受給額が7%増える事実はまったくない」と断定した。
政府試算で7%増えることになっている理由については「政府試算は2005年からずっと長い間、高齢者の年金を3%カットして巨額の財源をつくり、年4.2%というありえない運用利回りで50年くらい増やし、それが将来世代にばらまかれると7%増えるという計算だ」としている。
井坂議員は「大前提として、政府の試算は年金カット法案が2110年まで約100年間一度も発動されないという試算。そういう数字だけが独り歩きしているが、年金カット法案が通って、3%減るだけで将来7%増えることは数学的にもありえない。それは数学的に証明済みで、厚労省の年金数理の担当者も事実上認めている」とする。
そのうえで、民進党の制度設計について「大事なことは2つある。1つは、老後の暮らしを最低限年金で支える最低生活保障が大原則。その大原則が今ほど失われたらそもそも年金じゃない。もう1つは今の制度のように『若い人は払い損』という世代間の不公平があってはいけない。最低生活保障と世代間公平の2つを何とか両立できるような制度設計をしなければいけない」これが基本だとしている。
そして、提言する党として「年金試算は中立的な第三者機関で行う。同世代で集めた分は老後に分配されるという世代間で会計を区切る疑似的積み立て方式に近い形も目指したい。財源がいるので1つは民主党時代から言っている高所得者に負担いただくこと、歳入庁の設置やマイナンバーの活用できちんと皆さんに保険料を払っていただく。それだけでは足りないから広く薄い相続税のような形で亡くなったあとに回収する形も考えていかなければいけない」としている。
また、生活していける年金額の確保、現役世代が信頼できる持続可能な制度とするには、さらなる改革が必要だとし、具体的には(1)低年金者に対する最低保障機能の強化(2)被用者は原則厚生年金に加入することを目指し、さらなる適用拡大を推進(3)GPIFによる年金積立金の運用については低リスクで市場を歪めない方法の確立―等が求められている、としている。(編集担当:森高龍二)