15年の国内OTC市場規模は前年比1.8%増の8,090億円 3年連続のプラス成長

2016年11月25日 08:35

 OTCとは、要指導医薬品、第一類、第二類、第三類の一般用医薬品と指定医薬部外品(厚生労働大臣の指定により、一般用医薬品から医薬部外品となった品目)のことである。

 矢野経済研究所では、国内 OTC 市場の調査を実施した。調査期間は2016年 6月~9月、調査対象は国内有力OTCメーカー等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail 等によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 2015年の国内OTC市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、3年連続のプラス成長となり、前年比1.8%増の8,090億円と推計した。内訳をみると、一般用医薬品が同3.3%増の6,600億円、指定医薬部外品が同4.5%減の1,490億円であった。2015年は、新製品投入により市場活性化を果たした一部の薬効(製品)の貢献と、2014年に改定された外国人旅行者向け消費税免税制度で、一般用医薬品が免税対象となったことで、急拡大した訪日外国人客によるインバウンド需要が牽引し、一般用医薬品については前年比3.3%増の高い伸びを記録している。

 一方で、指定医薬部外品市場の中心を占めるドリンク剤やミニドリンク剤は、特定保健用食品を含む健康飲料や一般飲料、サプリメントなど一般の食品との競争激化により減少が続いている影響もあり、指定医薬部外品については同4.5%の減少となった。

 薬効別にみると、ドリンク剤・ミニドリンク剤が1,750億円(構成比21.6%)と全体の約2割を占める。次いで、総合感冒薬が755億円(同9.3%)、ビタミン剤710億円(8.8%)、目薬が485億円(同6.0%)、胃腸薬が400億円(同 4.9%)と続いている。その他では、パップ剤・プラスター、解熱鎮痛剤、整腸薬・止瀉薬、便秘薬、水虫薬、痔疾用薬などがOTCとして購入されている。

 また、2015年各薬効の市場規模推移をみると、目薬が前年比11.8%増と2桁の成長を達成した他、ビタミン剤(同4.4%増)が好調に推移、パップ剤・プラスター(同1.8%増の344 億円)、解熱鎮痛剤(同1.3%増の320億円)も堅調に推移した。これらの製品は、訪日外国人客によるインバウンド需要が牽引した他、新製品の投入や積極的なプロモーション展開などが効果的に作用したと考えるとしている。

 これに対し、ドリンク剤やミニドリンク剤(同2.2%減)、総合感冒薬(同0.7%減)が伸び悩んだ他胃腸薬(同1.0%減)は需要低迷に歯止めが掛からず市場縮小が続いている。これらの製品の減少傾向は、特定保健用食品や各種健康飲料など一般の食品との競争激化や、かぜの流行がほぼ例年並みであったこと、健康志向の高まりで暴飲暴食など不摂生をする人の減少などが要因として挙げられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)